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2005年04月19日

スクロヴァチェフスキ&読響

 2005年度の読響定期のスタートは、4月18日のサントリーホール、指揮者には人気上昇中のスクロヴァチェフスキの登場である。 今年度の定期でスクロヴァが振るのは、この4月だけではない。冠指揮者でもないのに、 12月の定期にも登場するというのはオケの定期としては異例だろうと思う。 曲目はベートーヴェンの交響曲第1番とブルックナーの交響曲第7番というもの。

 さて、ワタシ的には、最初のベートーヴェンが良かった。単に「良かった」というレベルを超えて、 素晴らしかったと言うべきかも知れない。ベートーヴェンの交響曲第1番と言うと、なんとなく「まだ習作」というイメージがあって、 演奏スタイルによってはモーツァルトやハイドン的な響きに聞こえることがある。でも、スクロヴァチェフスキの演奏はぜんぜん違う。 この曲に込められているベートーヴェンの強烈な個性が開花し、強靭な意志を感じさせる演奏である。颯爽としたスピード感、 明確なアーティキュレーション、・・・目からうろこの演奏である。この曲が一夜のコンサートとなると「前座」 みたいな位置づけで演奏されることがほとんどだと思うけど、こんな演奏だったら十分にメイン・ディッシュになりうることを認識させられた。

 しかし、ブルックナーは少々期待はずれに終わってしまった。読響の名誉のために最初に書いておくけど、これはオケの責任ではない。 ベートーヴェンの演奏を含めて、読響は緊張感の高い演奏を聞かせてくれたし、若干のアンサンブルの乱れがあったとしても、 それはライヴであれば避けられないわずかな乱れでしかなかった。しかし、スクロヴァの指揮する演奏スタイルだと、 そのわずかなアンサンブルや音色の不統一が必要以上に強調されて聞こえてしまうのである。音楽も、いささか分析的に過ぎる感じで、 音楽の流れに安心して身を浸すことが出来なかったのも残念。このあたりは演奏の良し悪しと言うよりも好みの問題だろう。 ワタシ的にはブルックナーのようなロマン派よりも、ベートーヴェンやモーツァルトみたいな古典の方を聴いてみたいと思う。

投稿者 kom : 2005年04月19日 03:04

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