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2005年04月23日

飯守泰次郎&東京都交響楽団

 都響の新シーズンは、4月22日のサントリーホールBシリーズ。久しぶりにコストがかかる企画(^_^;)と言う感じで、 ワーグナーの「リング」抜粋。指揮者はシティフィルでの「リング」やワーグナーのオペラで評価の高い飯守泰次郎の登場である。 当日のチケット売り場はソールドアウトになって、キャンセル待ちの列が並んでいた。

 都響はかつて若杉時代にリングの抜粋演奏を定期演奏会で行ったのをはじめ、サントリーホールでのワーグナー全オペラ作品の抜粋演奏、 二期会の「神々の黄昏」、インバルとの「ワルキューレ」全幕演奏などを行っている。その意味で都響は、 ワーグナー演奏には長けているオケである。しかし飯守とのワーグナーは、若杉やインバルのそれとは大きく違う。飯守のワーグナーは、 とても大らかでいて、音楽の流れがとても自然だ。その一方で、音楽に張り詰める緊迫感は若干薄く感じられると同時に、 オケを盛大に煽る一方で、ピアニッシモを使うことが少ないために、意外とダイナミックレンジが狭く感じられる。ただ、ふつーは、 このような飯守のワーグナーのほうがスケール感があって、好まれるだろうと思うし、私も嫌いじゃない。オケは、「ラインの黄金」 冒頭のホルンが不安定だったほかは大健闘。都響特有の硬質な弦楽器を基調に、テンションの高い演奏を聞かせてくれた。

 歌手では、何と言っても緑川まりの存在感がすごかった。声量は申し分なく、オケの音のカーテンを突き抜けて聞こえてくる。 成田勝美も緑川に負けぬレベルだったが、惜しむらくは両者とも絶叫調になってしまったことか。 このあたりは指揮者がオケの音量を上手にコントロールして欲しかった。ヴォータンの長谷川顕は、やや音程的に不安定さを感じたのと、 声そのものがヴォータンと言うよりも巨人族のような感じだ。島村武男は、この役柄では他に追随する歌手はなし。素晴らしかった。 ラインの乙女たちも十二分の出来栄え。

 カーテンコールは大いに盛り上がって、満員のホールはブラボーの声に包まれる。21:15までの長いコンサートだったが、 時間の長さを感じさせない一夜だった。

投稿者 kom : 2005年04月23日 00:24

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