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2005年04月16日

M's & 秋山和慶=東京交響楽団 名曲全集 第6回

 ミューザ川崎で始まった東京交響楽団「名曲全集」も、新しいシーズンが始まった。日程はすべて土曜日の午後6時からのソワレか、 日曜日の午後2時からのマチネということで、一番集客しやすそうな日程・時間帯なのだが、ホールの中は空席が多い。 全体的にはだいたい6~7割程度の入りで、S席はそこそこ埋まっているような感じだったけど、 それ以外のA~C席はそれぞれの前のほうだけ客が入っていて、後ろ半分は空席という状態。オープニングのシーズンはほとんど満員だったのに、 これはどうしたことか? 一年目が過ぎて、物珍しさがなくなったせいなのだろうか。

 今日のプログラムは、このホールのアドバイザーを務めるジャズ・ピアニストの佐山雅弘の企画で、 ジャズの要素をふんだんに盛り込んだもの。クラオタ的には食指の動かないプログラムだと思うが(^_^;)、 オーケストラ入門的には好適な内容である。

 ジャズとクラシック、・・・両方とも好き、という人は結構多いに違いない。私はジャズにはぜんぜん詳しくはないけど、 あれにハマる人の気持ちは凄くわかる。実際、サイトウキネン・フェスで、マーカス・ロバーツ・ トリオを聴いたときは背筋がぞくぞくするほどの感動を覚えたし、ジャズを聴きに行くチャンスがあれば何回でも聴きに行きたいくらいである。 しかし、それだけの時間も余裕もないので、 現実にはこのようにクラシックのコンサートの中の企画としてジャズが盛り込まれたときにしか聴くことはない。

 さて、ジャズとクラシックでは、使われる楽器に共通項がある。ピアノやベース、 トランペットやなんかはクラシックの楽器とまったく同じだだ。しかし私はジャズとクラシックは、似て非なるものだと思っている。 あくまでも一般論だが、クラシックの緊張感あふれる精緻なアンサンブルと、ジャズの自由自在なアドリブとスイング感は、 なかなか融合しないものである。この日のプログラムでも「ラブソディ・イン・ブルー」は、マサちゃんズ(M's)との掛け合いで、 途中にジャズの様々な曲を交錯させた演奏となったのだが、これがどうしてもしっくりと来ない。生真面目な管弦楽と、不真面目・・・ じゃなくって(^_^;)スイングするジャズがひとつの曲の中に同居すると、どうも居心地が悪い。ガーシュウィンは、 クラシックの中にジャズの要素を取り入れてはいるものの、その語法はあくまでもクラシックのものである。やっぱり違うのだ。

 とは言っても、別々に聴けば、それぞれのよさが引き立ってくる。後半のピアノ、ベース、ドラムの「マサちゃんズ」 のジャズはとても楽しめたし、オケだけの「パリのアメリカ人」も美しかった。また、前半の「ディズニーのメロディによる管弦楽入門」は、 おなじみのメロディにのせて、オケの各パートの楽器を紹介する趣向だ。とても聴きやすく、楽しめる曲である。たまには、 こういう親しみやすいコンサートも良いものだ。客席は空席が目立ったけど、終演後の拍手はとても盛り上がった。

 

 

 

 

 

投稿者 kom : 2005年04月16日 23:35

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