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2005年04月29日

徳之島にて(第2日目)

なぜか昨夜も眠れなかった。8 時に朝食を食べて、近所を散歩し、スーパーマーケットのAコープに行ってみる。大型店らしく品揃えに不足はなく、 普通の生活をする分にはまったく問題はないだろう。ただし、離島らしく牛乳などはで高めだし、競合店が少ないためだろうか、 特売品などの値段は総じて首都圏のほうが安いかもしれない。闘牛観戦に備えてお茶とコーヒーを買って宿に戻り、 9 時半過ぎに畑仕事から戻ってきたご主人の軽ワゴンに乗せられて会場となる伊藤観光ドームに向かった。闘牛場の伊藤観光ドームは、 宿泊している亀津の近くだが、市街地を離れて畑の中を少し走った場所にある。もし自分で行くとなると、 タクシーを使わないと難しいかもしれない。会場に近づくと車がたくさん停まっていて、舗装されていない道を歩いてドームに向かう。 もうたくさんの人が集まってきている。ヤンキー風の兄ちゃんが多いけど、若い女の子も少なくない。観光客はごく少なく、 これはまぎれもなく地元の娯楽なのである。入場料2,500 円を払って中に入ると、たぶん1,000 人以上は収容できるであろう大型の闘牛場を目の当たりにする。会場はドーム型の天井が備えられ、その天窓から太陽が差し込む。 中は少々暗いのでISO800 程度に増感する必要があるので、写真を撮るなら島内の他の場所にある屋外型の闘牛場のほうが良いと思うけど、 このGW は天候が崩れるとの予報もある。そんな場合はこの伊藤観光ドームのほうが良いのであろう。

 

この日の闘牛は、地元の野球チームの結成を記念した大会で、全部で9つの試合が組まれていた。 試合開始は午前10 時。どの牛が人気の牛なのかぜんぜんわからないのだが、地元紙の南海日日新聞ではGW 中の試合が見開き2面で特集され、見どころなどが詳細に書かれている。角の形による有利不利や、牛それぞれに得意技があるらしいのだが、 私にはさっぱりわからない。さて、牛が闘牛場に入ってくる。最初は軽量級の取り組みだが、最前列に座った私にはもの凄い迫力だ。 牛はすでに興奮していて、前足で地面をかきあげ、いなないている。その泣き声は「ぶおぉー」という感じでドーム型の天井に跳ね返ってくる。 その印象は、映画「ジュラシック・パーク」の中で搭乗する恐竜の鳴き声のようだ。

 

さて、真偽のほどはわからないが、地元の人に聞いた話ではこの闘牛は賭け事の対象にもなっていて、それが余計に人々を熱狂させるらしい。 とにかく試合は白熱する。勝負が決まりそうになると、ホールを怒号が包み込み、牛を鼓舞するための「アイヤっ、アイヤっ」の掛け声が響く。 片方の牛が戦意をなくし、逃げ出すと勝負が決する。勝者の牛の持ち主の一族は太鼓を鳴らしながら「ワイド、ワイド(オレの牛だの意味)」 の掛け声で踊りだす。

 

この日は、長い勝負で20 分位、短い勝負だと1 分以内で勝負が決した。最初から戦意を失っていて角を合わせる前から逃げ出す牛もいるし、最初から戦意むき出しの牛もいる。 重量級の勝負ほど、試合時間が短くなる傾向があるみたいで、最後の横綱戦も一方的に勝負が決してしまった。 角で相手の牛を持ち上げたときなどは凄い迫力で、その時に土俵の中にいたひとりが大怪我をしたらしい。

終わってみたら時間は1220 分。闘牛場の外に出ると、宿のご主人が迎えに来てくれていた。途中、サイレンを鳴らした救急車とすれ違う。こういうアクシデントもあるのだ。 闘牛に携わるのも命がけである。

 

午後は、近所の店で味噌ラーメン(\500 )を食べて、宿に戻ってゆっくり。そして午後2 時半過ぎに、宿のご主人が車で島を案内してくれた。車で宿を出発する頃になって、天気予報の通り雨が降ってきた。まずは相撲の力士・ 朝潮生誕の地の銅像に行き、その後は降ったり止んだりの天気の中、畦プリンスビーチ、金見荘前の海岸、ムシロ瀬、寝姿山、運動公園、 平土野の港、闘牛サミットの会場となる伊仙闘牛場などを見て周った。きっと晴れていれば海岸は素晴らしく美しいに違いないが、 この徳之島の風景は、沖縄的な雰囲気はあまり感じない。それだけではなく奄美、加計呂麻、請島、与路島でよく見かけるデイゴの木や、 集落の中心にある土俵もない。奄美群島の中では、もっとも本土の雰囲気に近い島なのかもしれない。

 

途中、よく見かけたのは、病院や特別養護老人ホームなどの福祉施設である。さらに運動公園や公共施設も新しい建物が整備されていて、 ハードウェアの面ではとても恵まれていると感じた。ソフト面ではどうなのかわからないが、他の離島と比べると住みやすい島なのかもしれない。

徳之島は意外と大きな島である。島を一周して宿に戻ると午後6 時。ちょうど夕食の時間だった。

 

投稿者 kom : 2005年04月29日 23:27

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