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2005年03月11日

チョン・ミョンフン&東京フィル

 今シーズン最後の東フィル・サントリー定期は、チョン・ミョンフンの登場。 会場には多少の空席はあるものの、全体では9割程度の入り。曲目はシューマンのピアノ協奏曲(pf:ラルス・フォークト)と、 マーラーの4番というもの。

 結論から言うと、ちょっとガッカリした演奏会だった。まず、ピアノ協奏曲は、独奏の音色的な変化も少なく、やや平板的な出来栄え。 オケとの絡みにも齟齬があり、消化不良な感じが残った。決して悪い演奏ではないものの、チョン&東フィルというコンビならば、 もっと上質な演奏を期待してしかるべきだろうと思う。

 さらに、チョンが東フィルで一貫して採り上げているマーラーだが、これはシューマン以上に不満足な出来栄えである。まず、 音量のバランスが良くない。いつものように弦楽器を拡大した編成なのだが、 音量を抑えようとするあまり音の密度が低くなって緊張感が乏しいし、 そこに木管が加わるときに音量がでかすぎて雰囲気を壊してしまうことしばしばなのだ。この4番は、室内楽的な透明感が求められる曲なのだが、 これでは聴き手を感動に結びつけることは出来ない。とは言っても、4番はマーラーの中で感動させることが最も難しい曲のような気もするので、 厳しすぎる評価なのかもしれないが。

 チョンのマーラーは、東フィル就任以来、継続して聞いてきたが、彼はマーラーには向いていないというのがワタシ的な結論。 どちらかと言うとラヴェルとかドビュッシー、ビゼーなどの感覚的なフランスものを指揮させたら、 かなり魅力的な演奏を聴かせてくれそうな気がするのだが、哲学的・論理的・ 思索的なドイツものだと曲全体の統一感が失われてしまうような気がしてならない。また、 アンサンブルの精度を二の次にしたオケの編成の拡大志向なども、私の好みとは違うことがハッキリしたので、 私は東フィル定期会員継続は見合わせることにした。20日にオーチャード定期を最後に、少なくとも一年間は東フィル会員からはお別れである。

投稿者 kom : 2005年03月11日 23:20

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