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2005年03月24日
スティーブン・スローン&都響(A定期)
都響音楽監督のベルティーニが3月17日に急逝し、 直後の都響の演奏会は19日の作曲家の肖像シリーズだった。その日はチケットを買ってあったものの、 都合により友人に譲ってしまったため行くことは出来なかったが、伝え聞くところによれば、 ショスタコーヴィチの8番は尋常ならざる緊張感に包まれた名演奏だったとのことである。その時の指揮者はスティーブン・スローン。 プログラムに記載されていた経歴によると、ベルティーニに師事した経歴の持ち主だ。 そのスローンが指揮する都響の文化会館定期が25日に開催された。プログラムの一部が追悼のために変更され、 ロビーにはベルティーニの写真も掲示された。
- マーラー:交響曲第5番から第4楽章アダージェット
- ウォルトン:ヴィオラ協奏曲(Vn:タベア・ツィンマーマン)
- ベートーヴェン」:交響曲第7番
マーラーの「アダージェット」は、ベルティーニの追悼のために変更となった曲である。ステージ上は緊張感に満ちた演奏だったが、 客席は遅れて入ってきた客が多く、なかなか演奏に集中することが出来ない。こういう静かな曲を最初に演奏することの難しさを感じた。 続くウォルトンのヴィオラ協奏曲は、スローンのパートナーであるタベア・ツィンマーマンの登場。聴きなれない曲ということもあって、 ぼけーっと考え事をしながら聴いてしまったためコメントはパス。でもカーテンコールは盛り上がって、アンコールに2曲もサービスしてくれた。
さて、問題はベートーヴェンの7番。これは、なかなか難しい曲である。スローンは、 遅い立ち上がりから巨匠的な恰幅の良い演奏を目指していたのだろうと思うけれど、結果的には失敗だったと思う。 たしかに縦の線はぴたりと揃い、オケから醸し出される音の厚みも音色も素晴らしいものだったが、いかんせん音の横の繋がりがない。 特に1~2楽章は、音楽がぜんぜん流れていかないのである。ベト7での典型的な失敗例だ。3楽章以降は、 多少はスピードアップして音楽の流れが改善したけれど、それでも本質的な欠点が解消されたわけではない。
とは言え、国内随一の弦楽器を誇る都響だけあって、弦の厚みと音色の輝きは申し分ない。 単に厚みだけだったらN響や読響の方が上かもしれないが、多彩な音色も加味した評価だと、私は都響が最強の弦だと思う。 やや残念なコンサートだったけど、オケのアンサンブルは素晴らしかったことは特筆しておきたい。
投稿者 kom : 2005年03月24日 23:10