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2005年02月25日
ブリュッヘン&新日本フィル
25日の金曜日はブリュッヘン&新日本フィルのサントリーホール定期である。トリフォニー定期では、 モダン楽器を用いながらピリオド楽器の奏法を応用して清新な演奏を聞かせてくれたが、このサントリー定期ではシューベルトの「未完成」と 「グレイト」が演奏された。
以前にも書いたけど、私はあまり古楽器演奏を聴く機会は少ない。というのは、私の経験の範囲内では、 古楽器による演奏で魅力的な音を聴いた記憶がないからである。古楽器演奏がブームの頃にライヴでの演奏を聴いた経験は何回かあるけど、 今の私は好んで古楽器演奏を聴こうとは思わない。むろん、古楽器にもそれなりの魅力はあると思うけど、 それは古楽器演奏に適したホールで演奏しての話であろうと思っている。古楽器オケを現代の2000人近い収容人員の大ホールで演奏しても、 古楽器の評価を低くする結果しか生まないだろう。
そんなワケで、もし、作曲された当時の演奏を現代に再現するのであれば、 個人的にはモダン楽器を使ってピリオド奏法で演奏するほうがベターなのではないかと思っている。実際、このブリュッヘン& 新日本フィルの演奏を聴いて、改めてそう思った。シンプルなボウイングから醸し出される清新な弦楽器の響き、 そこに積み重なる木管や金管楽器の音。それは重層的な響きの積み重ねを持ちながら、スケルトン的な透明感すら感じさせる。 贅肉をそぎ落としたシューベルトの世界。ロマン派の手垢にまみれた演奏スタイルから、ブリュッヘンは贅肉を削ぎ落とし、 解放したかのようである。
ま、もともとシューベルトが好きな曲かというと必ずしもそうではないし、 解釈の好き嫌いもあるのでワタシ的には感動の境地には至らなかったのだが、 新日本フィルの潜在能力を十二分に引き出したブリュッヘンの力量も凄いと思う。今度、来日するときがあったら、 もっとコテコテのロマン派的な曲を聴いてみたいものである。ブリュッヘンによって、曲のイメージがどれだけ変わるのか、興味はつきない。
投稿者 kom : 2005年02月25日 23:30