« 伊勢・鳥羽・熊野路の旅 | メイン | 伊勢・鳥羽・熊野路の旅(宿泊編) »

2006年01月07日

大野和士&新日本フィルのショスタコーヴィチ

 今年最初のコンサートは、1月6日にトリフォニーで行われた大野和士&新日本フィルの定期演奏会。 久しぶりに大野和士を聞いてみたかったし、ショスタコの選曲も興味深かったので、異常に冷え込む気温の中を錦糸町まで足を伸ばしてみた。

 最初に江村哲二という人の作曲した「武満徹の追憶に《地平線のクオリア》オーケストラのための」という曲が初演された。 オケのパートを左右に振り分けての編成で、ハープが印象的に使われて響きがとても美しい。武満にも通じる、響きの透明感を感じさせる。

 続いてショスタコのピアノ協奏曲第一番で、ソリストはシモン・トルプチェスキという人。この曲は、ピアノと独奏トランペット (この日はNJP首席のデイヴィット・ヘルツォーク)との掛け合いがスリリングで、個人的にも好きな曲のひとつである。このピアニスト、 透明感のある冷色系の音色が美しく、ショスタコの楽想に良く似合う。テクニック的にも不安を感じさせず、この曲の魅力を存分に引き出した。 終曲のスピード感に、ちょっとトランペットが付いていけていないような感じもあったけど、全体としては満足の演奏を聞かせてくれた。

 休憩後は、メインのショスタコ交響曲第4番。演奏される機会は少ないが、これもとてもスリリングな曲である。 1時間にわたる大作だけに、途中で緊張感が緩んでしまったような箇所もあったけど、個人的にはすごく良かった。 大野和士を久しぶりに聞いたけど、オケをまとめる統率力の確かさ、これはサスガである。弦楽器を冷色系の音色を整え、 破天荒な構造のこの曲を、決してバラバラにならないように描ききったのがひとえに指揮者の力量だろう。時としてNJPは肩に力が入りすぎて、 音が硬くガサついたりすることもあるんだけど、この日のNJPは適度に柔らかさを兼ね備えていて、とても良い出来栄え。 久しぶりに良いオケの演奏を聴けた。

 ところで、この日のNJPのプログラムには、次シーズンのプログラムが掲載されていたんだけど、 その予定を見るとサントリーホールは2007年4月からしばらくの間休館するみたいですね。 他オケの定期演奏会もサントリーに集中しているから、かなり大きな影響がありそう。

投稿者 kom : 2006年01月07日 13:15

コメント