東京芸術劇場大ホール(池袋)


東京芸術劇場ホール内部 池袋西口公園の奥に東京都が作ったコンサート専用ホール。同一の建物の中には演劇・小オペラ向きの「中ホール」や演劇専用の「小ホール」がある。建物に入るとまず度胆を抜かされるのは5階まで直通のエスカレーターで、大ホール入口までたっぷり2分程度かかる。知っている人は、ちょっと隠れたところにあるエレベーターを使っているようだ。ホールの入り口を入っても、1、2階席にたどりつくためにはさらにエスカレーターを乗り継がなければならないし、3階席だとさらに階段を上らなければならない。劇場にたどり着いても、座席に着くまで時間がかかるホールなので、少し時間に余裕を持って行きたいホールである。

 大ホールは、正面に世界最大中の126ストップのオルガンが据えられ、回転することによって「モダン」「バロック」「ルネッサンス」の音が楽しめるという趣向も凝らされている。しかしこのオルガンは竣工後、耐震性に問題があることが判明して、改修工事が行われるなど、問題が多い。座席は、跳ね上げ式の椅子で、いかにも安っぽく安定感に欠ける。またオルガン下の壁が開いて、休憩時間には屋上中庭が眺める事もできるのだが、あの無機的な庭園を見てもどれほどの意味があるのか疑問である。扇形のホールの座席は、1階から3階まで。どの座席に座ってもステージは見渡せるので、視覚的な問題は少ない。

 音響的には3階席、それも後部がお勧め。視覚的な距離感はかなり遠く感じるが、音圧が高く、このホールの中ではもっとバランスがとれている。値段も3階席なら安いため、是非とも3階席をお勧めしたい。反対に2階席後部(3階席が上に被さっている雨宿り席)は、音が最悪なのでぜひとも避けたい。残響音は東京の大ホールの中では最も長く感じられ、音圧も高いのだが、音のクリアーさは今ひとつで、微妙なニュアンスが伝わりにくいホールである。ロマン派以降の大規模な管弦楽には好適だろうと思うけど、モーツァルトやバッハなどにはホールの容積が大きすぎるだろう。

 交通は至便。オケの看板とも言うべき定期演奏会は行われていないが、読売日響の「芸術劇場名曲シリーズ」、都響の「芸術劇場シリーズ」、新星日響の「サンフォニック・コンサート」などが定期的に開催されている。

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