東京文化会館(上野)

 東京で最も伝統がある音楽ホール。コンサートだけではなく、5階まである劇場形式の座席配置に、オーケストラピットを持った「多目的ホール」である。かつては、N響を含めて東京にあるすべてのオケがここで定期演奏会を行っていたが、サントリーホールができて以降、徐々にオケ離れが進んでいる。97年に新日本フィルが離れて、今では都響と東京シティフィルだけが定期演奏会の会場として使っている。古くなったホールの改装のために98年から99年7月までは閉館し、リニューアルを行った。以前の面影はそのままだが、照明や舞台機構が改善されただけでなく、客席側でも評判が悪かったトイレはきれいになったし、エントランスには花屋やノベルティショップが開店して華やかさが加わった。

 現在ではコンサートよりも、オペラやバレエでの利用の方が主になっているようだが、音響的には定評がある。プレイヤーの話ではステージ上で音が聴きやすいという話を聞くし、リスナーにとってもどの座席でもバランスが良く、レベルの高い音を聴かせてくれるので古参のリスナーの評価は高く、99年の改装後はいっそう音が良くなったと評判である。残響音は控えめでクリアーな音質、特にピアノ向きの残響のホールという話を聞くが、オケや弦楽器の音も良く、クリアーな音響のため、演奏者の力量の差が現れやすい。

 前述のとおり、このホールは座席による音の差が比較的少ないホールとして知られていて、1階席から5階席まで極端な音響の差はない。そんな中でもお勧めは4階以上の座席で、1〜3階よりはあきらかに弦楽器の音が厚く聴こえてくる。値段も安いので、視覚的な条件さえ問題にしなければ4階以上の座席をオススメしたい。視覚的には、正面の座席なら問題はないが、4階以上の両サイドの座席に座るのなら是非とも1列目を確保して欲しい。そうしないとステージの半分位は見えないことになる。あと1階両サイドの座席は、前後の座席の間隔が異常に狭いので、足の長い人は要注意。

 小ホールは、一見、地下牢のような雰囲気だが、残響が少なめなのでピアノには好適なホールという評価がある。

 交通は、「上野」駅公園口の真正面、周りには美術館や公園が広がり、周囲の環境もまったく申し分ない。アフターコンサートに行く店は上野や御徒町方面にならざるを得ないが、適当なところを探すのは難しいのが玉にキズ。

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