東京オペラシティ・コンサートホール
タケミツ・メモリアル


オペラシティ外観 1997年9月に小澤=サイトウキネン・オーケストラの「マタイ受難曲」でオープニングを迎えた東京オペラシティ・コンサートホール。

 交通は都営新宿線から直接乗り入れが可能な京王新線「初台」駅を下車してすぐ、地下鉄の通路からそのままオペラシティの建物に入れるので、雨の日でも心配はいらない。新宿駅から甲州街道を歩いて行くこともできるけど、排気ガスが多い道を20分以上歩かなければならないため、あまりオススメは出来ない。初台駅からホールまでは3分、矢印があちらこちらにあるのでまず迷うことない。

 ホールは、1632席と少し小さめで、ふんだんに木が使われた明るい感じの大ホールである。このホールの特徴は何と言っても、「変形ピラミッド」と称する天井の形だろう。写真にあるように、天井に向かうにつれてだんだんと細くなっている。一部に三角形の天窓が用いられているけど、それ以外はすべて木で造られている(構造材はもちろん鉄骨や鉄筋コンクリートだろうと思うけど・・・)。「謎のピラミッド・パワー」を音響にも利用した・・・・というウワサが飛び交った。その音響効果は不明だけど、少なくとも美観的には東京で一番美しいコンサートホールだろう。ステージ正面には54ストップのオルガンも設置され、華やかさに色を添えているが、すでに東京で最高のオルガンとの評価が高い。

オペラシティ ホール内部 椅子も広く、やや堅めのクッシ ョンで長時間座っても疲労感は 少なそう。座席配置は、横に広 く、奥行きは短い。そのため一 番後ろの席に座っても距離感が ないので見やすいけど、一般的 に同じ座席数なら、横幅を狭くし て奥行きを持たせた方が音は 良くなる傾向にある。あと2階、 3階にはバルコニー席があっ て横向きの座席が並んでい るが、この座席は視覚的に問題がある。2階バルコニーだと、舞台の 7割程度しか見えないし、3階バルコニーだと半分程度しか見ることが出来ない。身を乗り出せば若干は改善されるけど、後ろの人の迷惑になるのは明らかなので、視覚を重視する人には絶対にオススメできない。同じバルコニー席だったら、オーチャードホールのような形式が良いのではないか。反対に2階・3階の正面の席は、ステージ全体が見渡せるので、このホール内で視覚的にはベストの席。1階席は勾配が少ないので、オケの後ろの方の動きは全く解らないけど、それさえ我慢すればまぁまぁだろうと思う。あと気になったのは、ステージの大きさ。このホールのステージはかなり狭い。多分「第九」など合唱が入る曲の上演する場合、合唱団の人数をかなり絞らないと演奏できないのではないか。

 1階席を聴いた限りでは意外と残響音は控えめ、低音は伸びるけれど、高音の華やかさには欠ける感じ。そのためか、全体に音が重たい・・・というかヌケが悪いというべきか。天井が高いので、ホールの容積は十分だとだと思うけど、現時点では音はあまり評価しにくい。3階席正面も、小さなホールの割に音が飛んでこない感じで、もどかしさを感じる。残響は1階よりも豊かだけど、オケの音が重なると、見通しが悪くなり各楽器の分離しなくなる。音のヌケで不満を感じる点では、1階も3階も大差はなさそう。

 しかしホールの音が安定するまでには数年かかるのは常識だし、東京国際フォーラムみたいに救いがたい酷さではないので、これからの改善しだいでは屈指の音響になる可能性もあると思う。 

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