Concert Diary in April

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新国立劇場「神々の黄昏」が終わって

 今日は新国立劇場の「神々の黄昏」の最終公演が帰ってきたところ。今日も当日券売り場には行列が出来ていて、会場内はもちろん満員。私はこれで合計3回の公演を見たことになるわけだけど、結論的に言うと「初日Aキャスト<4月1日Bキャスト<4月4日A’キャスト」という順番の出来で、最終日が最も満足度の高い公演となった。これは音楽的にも、演出的にも、日を追うにつれて向上していたように思われる。実際に、今日のカーテンコールが一番盛り上がった。

 書きたいことはたくさんあって、演出の解釈なんかをつらつらと書こうかなぁと思ったりもしたのだけれど、正直なところ、それだけの気力が残っていない(^_^;)。ただ、3回の公演を見ると、3回なりの新発見があって、とても興味深い演出だったことは確かだ。初日を見たときには、ラスト・シーンを見たときに脱力感があったんだけど、最終公演を見終わった今は、とてもよく考えられた内容だと思っている。出来ることならば、チクルスでもう一度見たいものだ。

 歌手では、4月1日Bキャストの渾身の演唱も忘れがたいけれど、やはりシュナウトとフランツという鉄壁のAキャストに一日の長があったことは確か。ハーゲンもAキャストの長谷川のほうが存在感が光っていた。メルクル=N響も最終日がベスト。ホルンのミスはあったけれど、音の厚みはさすが。メルクルの音楽作りも、この演出にはあっていたと思う。

 私がクラシック音楽を聴き始めた15年程前は、「リング」はナマで見聞きできるだけでもありがたい・・・という思いだったが、今では決して珍しくない演目になってしまった。ビデオ映像でも、さまざまな演出に触れることが出来る。私たち聴衆の眼も耳も、それなりに肥えてきているので、あれこれと注文もつけたくなる向きもあろうかと思うけど、今は素直に日本の歌劇場でこれだけ高水準のプロダクションを産み出したことを喜びたいと思う。(04/04/04)



クラッシュ!!! 〜 フルネ&都響

 あ〜!今日は、モバイルで常用しているパソコンがクラッシュ! 私の不注意で液晶パネルにひびが入ってしまい、表示不可の状態になってしまった。LANでデータを救出したんだけど、修理に出さないと・・・・。幸いなことに、3%の保険料を払って「さくらや」の延長保証に入っていたんで、修理代金はほとんどかからないと思うんだけど、しばらくモバイルが使えないのはイタイ。

 さて、4月上旬からぜんぜんコンサートの予定がなくて、昨日は久しぶりの都響のサントリー定期。名誉指揮者で、いまや世界最高齢の指揮者になった(らしい)ジャン・フルネの登場とあって、サントリーホールは95%程度の入り。演奏内容も気合いが入りまくりで、たいへんに充実した演奏となった。

 前半はショーソンの交響曲で、ワタシ的理解度はイマイチの曲なんだけど、オケの鳴りはすごく良かった。テンションの適度な高さ、色彩感の豊かさ、そしてアンサンブルの正確さは、ここ数年のフルネ=都響の中でも特筆するべきものじゃなかっただろうか。後半のラヴェルのスペイン狂詩曲も、スパニッシュな響きの中にも、フルネらしい端正な表現も感じられて、これも満足。ラストはボレロで締めくくったが、これも都響は渾身の演奏と言っていい内容。あえて言うならばソロの音色に注文を付けたい部分もあるけど、ダイナミックレンジの広さ、クレッシェンドの頂点の高さも申し分ない。やや遅めの速度で始まったボレロも、少しづつ速度を上げて、終わってみれば15分30秒の演奏。終演後は、大きな拍手にホールが包まれた。

 この4月は、フルネはプロムナード・コンサートと作曲家の肖像シリーズにも登場する。いずれも、注目すべき演奏会になりそうだ。(04/04/18)



新国立劇場バレエ「ロミオとジュリエット」

 18日の日曜日は、新国立劇場バレエの「ロミオとジュリエット」である。この曲はバレエ音楽の最高傑作だと思っていて、さらにケネス・マクミランによる振付は大のお気に入り。しかもジュリエット役は、この役を踊らせたら世界最高のバレリーナと言っても過言ではないアレッサンドラ・フェリの登場とあっては見逃すわけにはいかない。日曜日のマチネ公演と言うこともあって、当日券売り場にはキャンセル待ちの長い行列まで出来ていて、ホール内は私の見渡す満員の盛況だった。

 このページでバレエのことを書いても反応は芳しくないのだが、やっぱフェリとコレーラのコンビの素晴らしさは特筆されてしかるべき。フェリも実際の年齢は相当な歳のハズだけど、あの少女の仕草、雰囲気は紛れもなくジュリエットのものだ。そしてコレーラ、はじめて見たダンサーだけど、あのスピード感はスゴイ。ただ主役2人を除いたバレエ全体の雰囲気としては、どうしても借りもののプロダクションという感じがつきまとう。演劇的な要素が強い振付だけに、単なるテクニックだけで消化できない難しさがあるのかなぁ・・・とは思うけれど、これはきっと年月が解決してくれるに違いない。

 さて、この公演で残念に思ったのが管弦楽だ。ピットの入ったのはアンソニー・トゥイナー指揮の東京フィルだったけど、いかにも荒い演奏だ。数年前まで、私はピットに入っている東京フィルのことを高く評価していたんだけど、この日の東京フィルはアンサンブルが雑で、プロコフィエフらしい怜悧な音色がほとんど感じられない。旋律も「音程だけは合ってます・・・」みたいな演奏で、音楽が持っている表情の豊かさが感じられない。公演初日であればある程度仕方がないと思えるのだろうけど、3日目の公演でこのレベルであれば先の進歩も望むのはムズカシイと思う。合併後に聴いた東京フィルの中では、最も残念な演奏だった。思い入れのある曲だけに、そう思ってしまうのかもしれないけれど。(04/04/19)



ケータイ閑話 〜 テミルカーノフ&読売日響

 またもや余談だが、先日、ケータイを買い換えた。昨年5月にauのA5304Tを買ってから概ね一年近く。まだ店頭では現役の機種だが、そろそろスペック的に見劣りしてきている。そう思っていた中、近所の量販店でauのA5404Sを新規契約1円で売っていたのだ。ちょっと迷ったんだが、店頭で触ってみたら即気に入ってしまって購入。翌日、auショップに持って行って解約→即機種変更の手続きをしたのである。まぁ、こういう契約即解約という方法はモラル的にどうか?というのが悩んだ点だったんだけど、機種変更で購入しようとすると13,440円?もするので、価格設定そのものが「契約即解約」という方法を奨励しているかのようなものである。でも、なんか・・・うーむ。

 さて、早速、新機種で写真を撮ってみたんだが、これは使える画質である。デジカメの画質を基準は「画素数」だと思っている方が多いかもしれないけれど、実際にデジカメの画質を決定するのは「レンズ」である。どんなに画素数が多くても、レンズの性能がそれに追いついていないと意味はない。その点、A5404Sのレンズはイイ!画素数が多ければ多いほどレンズの解像度が要求されるけど、このケータイで写した写真はLサイズだったら十分な画質なのである。実際に自宅でプリントして職場に持って行ったら、「え〜!これ携帯で写したの?」とびっくりされたほどで、「使い切りのフィルム・カメラを上回る」と評判だった。その他、ジョグダイヤルも使いやすく、結果的には1円どころか13,440円出しても惜しくないと思われるような買い物だった。この機種はオススメである。

 さて、前置きが異常に長くなったが(^_^;)、昨日は読響定期で、指揮にはテミルカーノフが登場。合唱団が入ったPブロックやテレビカメラの席を除くと、概ね95%の入場者で盛況だった。曲目はストラヴィンスキーの「火の鳥」1919年版と「カルミナ・ブラーナ」というもの。

 テミルカーノフを日本のオケで聴くのは初めてだと思うけど、音楽作りが実に巧い指揮者だ。奇をてらったような表現は全く感じられないのだが、音楽の歯切れの良さと、クレッシェンドのもっていき方、ダイナミックレンジを広く聴かせるテクニックなどは、なかなか他の指揮者ではなかなか聴くことの出来ない特徴だろうと思う。そしてピアニッシモでのアンサンブルの整え方も心得ていて、どちらかというと荒くなりがちな読響のピアニッシモもとてもきれいに響かせていたのが印象的だった。こういう特徴がよく現れていたのが「火の鳥」で、音色のパレットも豊富な上に、終曲の「ふわっ」としたロマンチックな音を、この曲から聞き取ったのは初めての体験である。ダイナミックさとロマンチシズムを両立させた演奏には感服。

 そして「カルミナ・ブラーナ」も素晴らしい演奏だった。合唱が主役の曲だけに、まずは栗友会の大健闘を特筆するべきだと思うけど、失礼ながら、栗友会ってこんなに巧い合唱団だったっけ?と思ったのは私だけだろうか。もちろん、不満がないワケじゃない。発音のカタカナっぽさは感じさせてしまうんだけど、全体をとおしてみればアマチュア合唱団でこれだけ歌えれば立派も立派、大健闘である。ここに至るまでの練習には敬意を表したい。TOKYO FM少年合唱団というと、あまり良い思い出はないんだけど、昨日の読響に関しては整ったアンサンブルを聴かせてくれて満足すべき出来映え。

 独唱陣も良かった。高橋薫子も声量が豊かになったなぁ・・・と感じさせてくれたし、キワモノ系テノールという印象が強い(失礼!)高橋淳もその持ち味を発揮して見事な焼き鳥ぶり。宮本益光は初めて聴く歌手だと思うけど、甘い声が魅力的なバリトンだ。ファルセットでちょっと不安だったけど、これからが楽しみな若手歌手だと思った。管弦楽ももちろん素晴らしく、迫力ある名演奏を聴かせてくれた。テミルカーノフ&読響の演奏会は、あと2回予定されている。まだ聴いていない人はぜひどうぞ。(04/04/20)



もうすぐ8歳です。

 このホームページがインターネット上に誕生したのが1996年の5月3日。もうすぐ満8年を迎えます。最初はこんなに長く続くとは思っていなかったんだけど、幸いにしてライヴ系リスナーのクラッシック音楽の草分け的ページとして認知され、気まぐれ的更新にも関わらず、結構、たくさんの人がこのページを読みに来てくれていることは素直に嬉しく思います。

 この8年の間に、私にもいろいろなことがあって、こういうページを続けていて良いのかなぁ?と思うこともあるんだけど、まぁ、いつもながらのマイペースで続けられるところまで続けたいと思います。そんなワケで、このページもリニューアルを予定しています。2002年の正月に大規模な模様替えをしてから2年以上が経過したので、そろそろ頃合いでしょう。メインとなるCGIの動作も確認したので、あとはデザインを再構成するだけ。うまく行けば、連休の間に仕上げることが出来るはず。お楽しみに!(04/04/21)