Concert Diary in June

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オペラ4連荘 (ボローニャ&新国カルメン)

 いやぁ、先週は爆忙の日々であった。仕事は立て込んでいるし、オマケに6月4日から7日まで夜のオペラが4連荘! 仕事も朝からずーっとコンピュータの液晶の前に座ってキーボードをカチャカチャ叩いているもんだから、家に帰ってからホームページを更新しようという意欲も萎えぎみ。そんなワケなんだが、この4日間がボローニャ歌劇場の3演目に、新国立劇場いわく付きの演目「カルメン」と来れば、一応書かねばなるまい(^_^;)。

 とは言っても延々と文章を書く気にもならないので(^_^;)、手短に星取表?ちっくに行こう。(02/06/10)

演目&評価 ワンポイント
「清教徒」
★★★★
ずーっと昔に藤原歌劇団で見たけど、やっぱり演目的にはイマイチ。それでも四つ星なのはグルヴェローヴァがステージ上にいたからである。なんでこの人はいつも素晴らしく、こんなに安定しているんだろう。この人、ホントは衰えることを知らないアンドロイドなのではないだろうか(^_^;)。サヴァティーニも良かったし、ひたすら歌手を聴くべき演目であった。
「トスカ」
★★★
開演前にクーラが体調不良とのアナウンスがあって、たしかに「星は光りぬ」でもあっけないほど力をセーヴして肩透かし。トスカのサラザールも絞り出すような声はワタシ好みの声ではなくて、表現力も安定度も今ひとつ。圧倒的に良かったのはスカルピアを歌ったライモンディで、抜群の存在感。ガッティの指揮も緩急自在で素晴らしい表現力を見せたけど、やはりこの演目でトスカがイマイチだと・・・。
「セヴィリャの理髪師」
★★★★☆
今回のボローニャ3演目の中では最高の出来栄え。これだけの歌手をそろえた「セヴィリャ」はなかなか聴けないのではないか。特にバルトロを歌ったプラティコは最高で、歌はもちろん、演技力も抜群で会場の笑いを一身に集めていたし、ロジーナのカサロヴァも前評判どおり。フィガロのヌッチは全盛期は過ぎているのかもしれないけど、存在感は抜群だし、ガッティの指揮もツボを押さえた管弦楽を聴かせてくれた。伯爵のフローレスは最後のアリアで爆発的な拍手を集めていたけど、ワタシ的には「なんで???」という感じ。良い声なんだけど、歌いまわしが硬くて、聴いていて不安になったほどなんだが・・。
新国「カルメン」
★★★
新国2度目の「カルメン」は、基本的にオーソドックスな演出なんだが、部分的にはちょっと変? なんか、合唱がやたらと多く、第3幕の密輸団も100人近くいるような感じなのだ。おかげで合唱は迫力があったけど、こんな大人数の密輸団っていうのもなぁ・・・。カルメンを歌ったコムロジは、チャーミングな表情、身のこなしの色気など、役柄の説得力はあるのだが、幕が進むにつれて物足りなくなってくる。その訳は、声の表情が今ひとつで、単調になってくるところ。ホセを歌ったヨハンソンは、荒削りな感じもあるけど、強靭で良く通る声である。エスカミーリョのキリコはまぁまぁ。ミカエラの出口正子は、声から考えてちょっとミスキャストのような気がした。そうそう、デコラート=東フィルのオケは良かった。



ベルティーニ=都響

 今月の都響定期、ホントはサントリー定期の会員なので12日だったんだけど、都合により13日の東京文化会館定期に振り替え。同一プログラムだと、このように助かることもある。今月の定期は音楽監督ベルティーニの登場で、ソリストには注目の庄司沙矢香とあって、満員とはいかないものの、5階席にもお客さんが入って東京文化会館としては大盛況である。

 前半は、その庄司紗矢香によるブラームスのヴァイオリン協奏曲である。私は初めて聴くソリストなのだが、ステージ上の姿はまだまだ少女の面影である。なんでも彼女としては初挑戦の曲らしいのだが、そのことを割り引いて考えても、聴いた印象は今ひとつの印象だ。まず音色だけを言っても、最近の若手ソリストの中では光沢感や変化に乏しく、楽器を巧く鳴らしているとは言えないのではないか。さらに節回しにしても、チマチマした感じが拭えず、この曲をきちんと掌握しているとは思えなかった。もしかしたら得意の曲だと、まったく違う印象になるのかもしれないけど、少なくともこの日のブラームスの演奏はなぁ・・・(以下自粛)。

 後半はドビュッシーの「夜想曲」とラヴェルの「ボレロ」。晋友会の女声合唱も登場した「夜想曲」はこの夜の一番の聴きモノで、ダイナミックレンジの広さ、音色の豊かさも特筆すべきもの。フルネでも同曲を聞いたことがあるけど、その違いは、ベルティーニのほうが音の厚みがあることと、音楽の燃焼度が高いことかな。とにかく、「夜想曲」のときの都響の集中力の高さ、木管のソロの美しさ、それらが醸し出す官能的な響きを堪能した。つづく「ボレロ」は、「夜想曲」と比べるとちょっと荒さが出てしまったような感じで、これまでに聴いた数々の名演の前では分が悪いんだけど、それでも燃焼度の高さはベルティーニならではだろう。延々と続くクレッシェンドの波の中で、しばしの興奮を味わった。(02/06/16)



ベスト4


 ワールドカップもいよいよ佳境。日本はトルコに負けちゃって、巷(ちまた)の話題度が若干低下しているのは否めないけど、それでもサッカーが日本中をここまで熱狂させるとは思わなかったのではないだろうか。ウチの職場でもサッカーの話題が時候の挨拶を押しのける勢いだし、向かいに座っている女の子はサッカーなんかには興味がないはずなんだけど、ケータイの液晶はベッカムの写真である(^_^;)。電車の中で聞き耳を立てていると、サッカーネタが登場度ナンバー1だ。これがすぐにJリーグの人気に結びつくかどうかは疑問符がつくのがビミョーなところなんだけど・・・、追い風になるのは確かだろう。

 そんななかで韓国がベスト4入りの「怪」進撃である。同じアジアのサッカーファンとして率直に喜びたいところなんだけど、進撃が「快」ではなく「怪」なのは、どうしても疑惑の審判問題がつきまとうからだ。対イタリア戦でのトッティ退場の誤審は、勝敗に決定的に結びつかなかったと思うのでまぁ許す(^_^;)。しかし、昨日の対スペイン戦は誤審がなければ明らかにスペインが勝っていた試合だった。あのヘッディングのどこがファールなのか? 2点目(?)のシュートに結びついたボールはエンドラインを割っているのか? どう見ても誤審である。この結果、さすがに韓国の心有るサッカーファンは、素直には喜べないのではないだろうか。

 さて、本題に戻って音楽ネタである。昨週は3回のコンサートに行ったので、その「怪」レポートである。

演目&評価 ワンポイント
アルブレヒト=
読売日響
(02/06/16)

★★★★
 東京芸術劇場の名曲シリーズで、シューベルトの「未完成」&「グレート」というプログラムだったんだけど、やっぱり今の読響は絶好調だ。特にアルブレヒトとのコンビは、今、東京で聴けるオケの中では最高の聴きモノといっていい。5月に聴いたホグウッド=東フィルの「グレート」の、何が言いたいのかわからない演奏とは雲泥の出来で、アルブレヒトの主張は実に明確で共感できるものだった。柔らかく大らかな響きの中に、楽想に応じた様々な音色が込められる。読響の音はテンションが高く、一糸乱れぬアンサンブルの精度の高さで、アルブレヒトのタクトに応える。変な演奏だと眠くなる代表曲の「グレート」だが、この日の演奏はそんなことは微塵も感じさせなかった。
ボッセ=
新日本フィル
(02/06/20)
 すまん(^_^;)。この日はコンサートの前に日本酒を飲んで、ぜんぜんワカランかった。コンサート会場には行ったんだが・・・そんなわけでパス。曲目はベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番(pf:ペーター・レーゼル)とブラームスの交響曲第3番・・・だったらしい(^_^;)。
レナルト=
東京フィル
(02/06/21)

★★★☆
 鄭明勲の家族の急病ということで、旧新星日響で人気のあったオンドレイ・レナルトが代演となったが、彼が新・東フィル定期のステージに立つのは、これが初めてである。まずはポール・メイエの独奏によるモーツァルトのクラリネット協奏曲だったが、やや細めでピアニッシモを大事にした独奏で、モーツァルトの美しい旋律を奏でる。そのアプローチは室内楽的な繊細さを感じさせるもの。後半のマーラー5番も大熱演で、会場は大いに沸いた。もし指揮者が鄭だったら、もっと起伏が激しくテンションが高い演奏になったろうと思うけど、レナルトはテンポをぐっと落として旋律を丹念に歌わせるアプローチだ。特にアダージェットは音楽の流れが止まる寸前の遅さで(ワタシ的には遅すぎ!)、ここまで遅い演奏はナマでは聴いたことがない。オケも大変な熱演で、特にトランペットの音は特筆すべきものだった。



ひさびさのチケットぴあ


 この間の土曜日(29日)は、新国立劇場の新シーズン「椿姫」の会員発売日。私も土曜日が休みになったので、久々に近所のチケットぴあに並んでみた。・・・とは言っても朝9時に窓口到着の根性なし(^_^;)で、9時過ぎに申込書を書いていったん解散、10時前に再び窓口に集まるというシステムだ。私はその日は前から17番目で、前の人の様子を伺っていたら「椿姫」で並んでいた人は、そのうち4人くらい。これは多いのか、少ないというべきなのかわからないが、ワタシ的な感想から言うと、意外と新国立劇場の会員も、私の近所に多いのね・・・という印象を受けた。で、私は前から17番目ながら、「椿姫」初日AキャストのD席と、BキャストのE席をゲット成功。ぴあに並んでいる間も、ずーっとPHSで電話をかけてみたんだけど、全然繋がる気配は無かったので、やはり、電話よりも窓口に並んだほうが確立は圧倒的に高いのではないかと思う。

 さて、ワールドカップも終わってしまって、全国的にそのツケの清算が始まろうとしている。どう考えても、今後の運営が心配になりそうな巨大スタジアムのツケはだれが負担するのか、ワールドカップを当て込んだ観光産業の不振も伝えられているし、・・・見込まれていた経済効果は本当にあったのだろうかと疑問になる。あまり報道はされないけど、私が一番いかがわしいと思っているのは、実は主催者のFIFAで、きっと他の大多数もそう思っているに違いないと思うのだが、絶対にFIFAの金権体質はIOCを上回るヒドサなんじゃないだろうか。このワールドカップで一番儲かったのは、FIFAだろう。ワールドカップも終わって、気兼ねすること無いのだから、マスコミもぜひその辺りを突っ込んで調べて欲しいものだ。

アルブレヒト=読響

 それに先立つ6月28日は、アルブレヒト=読響の定期演奏会(サントリーホール)。いわゆる現代音楽のオンパレードで、会場はさすがに空席が目立つ。4曲ほど演奏されたんだけど、私にはまったく波長が合わずに、????の連続。聴き手としても疲れていて、集中力がイマイチだったことは否めないんだけど、それにしても退屈な時間だった。したがって感想もなし。こーゆー曲が、未来に生き残るとは思えないんだけどなぁ・・・。(02/07/02)