Concert Diary in February

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大ボケ

 1月は「定期会員になろう」の連載と「リング」でオニのように更新したのだが、その反動はどこかに現れるもので(^_^;)、今日は実に3週間ぶりの更新となってしまった。その間には注目のコンサートも多数あったし、第一生命ホールに見学に行った話など、ネタはいろいろとあるのだが、なにせワタシ的には2月は一年で一番忙しい月にあたるのだ。そのおかげで2月1日のベルリン国立歌劇場の「ジークフリート」のチケットは無駄にしてしまった・・・・とは言っても、これは私のスケジュール管理のミス=大ボケが原因なのだ(^o^;)。

 2月の予定は更新しておいたけど、はたしてきちんと更新できるのか・・・まったく自信がない今日この頃である。(02/02/12)



二期会「フィガロの結婚」&新国立劇場「ウェルテル」

 23日の土曜日に二期会「フィガロの結婚」、24日に新国立劇場の「ウェルテル」を見た。新国立劇場が満員なのは当然のこととして、二期会の東京文化会館も満員だったのはちょっと驚きだったが、人気の演目だし、演出家に宮本亜門を起用している話題の公演ということもあるのだろう。

 まずは「フィガロの結婚」。まず男声陣の伯爵の泉良平、フィガロの甲斐栄太郎、バルトロの鹿野由之、ドン・バジリオの岡本泰寛は、突出した素晴らしさは感じさせないもののそろって安定した出来栄えで、演出の意図が行き届いていて表情豊かな歌&演技を見せてくれた。女声陣では、伯爵夫人の佐々木典子が、彼女のレベルからみればやや残念な出来栄え。声が通らず、歌にも滑らかさが欠けて、ちょっと不調のように思えた。スザンナの鵜飼文子は、たぶん初めて聞く歌手だが、かなり声量が大きく、舞台での存在感も感じさせる歌手だ。コロラトゥーラ・ソプラノというイメージではないが、演技力も確かで、今後の活躍を期待したい。マルチェリーナの与田朝子も、いつもどおりの安定感を感じさせる。

 演出は、四角い三段重ねのゲート(←オーチャードホールの音響シェルターみたいなやつ)の組み合わせの中で繰り広げられるのだが、舞台全体の中央部しか使わないのでちょっと室内オペラという雰囲気も感じさせる。やや抽象化された舞台装置だが、衣装や時代設定などはごくごくオーソドックスなもので、登場人物の動きにも演出家の意図が徹底されているようで、安心して見られるものだった。

 オーケストラは、パスカル・ヴェロ指揮の東京フィルで、ホールの容積から考えると編成はかなり絞り込んだもの。やや響きが薄かったように思えたのだが、演奏の安定感はあった。全体にみると、それほど突出した高水準のものはなかったのだが、それほど大きな失点もなく、演目的な面白さを十分に伝えうる上演だったことは間違いない。

 そして24日は新国立劇場のマスネ作曲「ウェルテル」。この上演は何と言ってもタイトルロールを歌ったサッバティーニの歌に尽きる!!! 弱音のなかにあってもはっきりと感じさせる感情、その弱音からクレッシェンドしていくときの高揚感は、この日の舞台の「すべて」といっても決して言い過ぎではないのではないだろうか。シャルロットを歌ったアントナッチも感情豊かな歌唱と、美しい舞台姿、演技で、サッバティーニの相手役として申し分のない出来栄え。

 マスネのオペラは「ドン・キショット」「マノン」に続いてこれで3演目め。美しい旋律にあふれているが、音楽的にはどちらかというと平板で、やや物足りなさを感じてしまう。その意味では、このくらい素晴らしい歌手が歌わないと、舞台そのものに魅力が伴わないとも言えなくもないのだが、新国のマスネ・シリーズは、実に意欲的な取り組みだったと思うし、「マノン」はイマイチだったものの、「ドン・キショット」「ウェルテル」は成功した上演として評価して良いのではないかと思う。(02/02/26)