3月の「今日のひとこと」

(文中の敬称は省略しています)

●今日のひとこと 世間はもう3月。かなりスギ花粉が本格的になってきたなぁ。外を出歩くときは抗ヒスタミン剤なしでは、しんどい季節。もちろんコンサートに行っても集中力が欠落するので、3月のコンサートは控えめにする。とか言いつつ、今日はデュトワ=N響のオーチャード定期だ。N響を聴くのは久しぶりだなぁ。
 さて、川崎の音楽ホール(仮称:川崎駅西口文化ホール)に関して、肝心なことを書き忘れていた(^_^;)。着工は今年4月下旬で、開館は2004年の予定。工事は都市整備公団が行い、完成後に川崎市が200億円で買い取る予定らしい。(01/03/01)


●今日のひとこと N響を聴くのが久しぶりなら、デュトワを聴くのはもっと久しぶり。デュトワがN響に関わり始めた当初の鮮烈な印象は今も忘れがたいが、やっぱりNHKホールは遠いし音が悪いし・・・などの理由でN響定期から遠ざかってしまったのだが、昨日はデュトワがオーチャード定期に登場するのは初めてのコンサート。待望の登場だけにオーチャードホールはほぼ満員の盛況となった。
 最初のウェーバー「オベロン」序曲も良い出来だったんだけど、前半の白眉はラフマニノフのピアノ協奏曲第3番だった。ソリストは第1回マルタ・アルゲリッチ国際ピアノコンクール優勝の広瀬悦子で、私は初めて聴くピアニストだったんだけど、これがかなりイイ線いってる。ラフ3はライヴではあまり聴いたことはないのでサンプル数は少ないんだけど、その中ではベストの演奏だったと言いたい。難曲中の難曲ゆえなのか、錯綜する楽想がまとまらずに、本来は美しいはずのメロディラインが浮き上がってこないことが多いけど、広瀬の演奏はひとことで言って歌心あふれる演奏だった。彼女のピアノから聴こえるラフマニノフは、叙情的な楽想がロマンチックに歌い、また第一楽章のソロは情熱に溢れる。表現の幅の広さを持つと同時に、どの楽想も孤立しないで統一感がある。テクニックに頼ったり、それを誇示するような姿勢は全くなく、音楽の表現に神経を注いでいる姿勢にはとても共感を覚えた。あえて問題を挙げるとすれば「音色」で、もう少し粒立ち良く、輝きを感じさせる音が欲しいところだし、打鍵が強くなると音色が平板になりがちなのは残念。オケを突き抜けてくる打鍵の強さも欲しいところだが、まだまだ成長するピアニストだと思うのでこれからが楽しみ。あと忘れてはいけないのが、オケのサポートで、この演奏を生み出した功績の半分はデュトワ=N響にあると言っても過言ではないんじゃないだろうか。ロシアの低く垂れ込める雲の色のようにくすんだ音色は、まさにラフマニノフ特有のもの。ソリストとオケのタテの線が微妙にズレそうになっても、デュトワのタクトは完璧に修復するし、デュナーミクの幅のコントロールも見事だった。
 後半のビゼーは軽妙かつ色彩感溢れる演奏で、音楽のタテ・ヨコの線がピタリとあっている快感を感じさせる。これぞデュトワらしい演奏だろう。最後はラヴェルの「ラ・ヴァルス」。出始めはフランス音楽らしいふわっとした空気感を感じさせて、これはイケルかな、と思ったんだけど、音楽が進むについれて音が重くなってしまったのが残念。でも全体を通してみると久々にデュトワ=N響らしい音楽が聴けて満足。やっぱり、東京の音楽シーンの中で一番注目すべき顔合わせであることは間違いないと思う。(01/03/02)


●今日のひとこと ことし5月25日は都響の定期演奏会で、朝比奈隆がブルックナー交響曲第7番を振る。私は以前は自他ともに認める朝比奈ファンで、氏のブルックナーに心酔したものだ。大阪まで大フィルの演奏会を聴きに行ったことは2回あるし、東京で行われる氏のコンサートには欠かさず出かけていた時期がある。しかし、いつしか氏のコンサートから足が遠ざかってしまった。ボリュームの壊れた野放図な金管楽器、ほとんどオーケストラ任せとも思えるアンサンブルに、聴くのがしんどくなってきたというのが正直なところ。もちろん今でも朝比奈は何者にも代えがたい良さを持っている指揮者だと思っているけど、その一方で大阪フィルのアンサンブルを全然育てられなかった責任も棚上げすることは出来ないように思う。これにはもちろん大阪フィルの事務局の問題もあるんだろうと思うし、財政的支援を求める広告塔として朝比奈の存在が必要だったこともあるんだろうけど、やはりこのような問題は音楽に正直に現れてしまう。
 そんなワケで、私は朝比奈=都響のブルックナーはパスして、ペーター・マーク=読響のモーツァルト・プログラムを聴きにいくことにした。私は「モーツァルトは苦手」を公言してはばからない人だけど、決してモーツァルトが嫌いなわけではない。すでに何回も書いているけどモーツァルトの綺麗なメロディラインをなぞるだけの凡演が多すぎるだけで、モーツァルトの音楽の素晴らしさはそれなりに解っているつもり。そのモーツァルトの音楽の魅力を余すところなく伝えてくれる数少ない指揮者がペーター・マークだと思う。たしか93年だと思うけど、都響の定期で振ったモーツァルトは私にとって忘れがたい演奏の一つで、あれほど美しく、ふわっとした空気感を持って、各パートが綺麗に分離し、そして有機的一体感を持ったモーツァルトは聴いたことはなかった。残念ながら95年の来日時の第九がヒドイ演奏だったので、出来不出来が激しい指揮者なのかもしれないけど、マークのモーツァルトこそ、今、聴くべき演奏会だと思う。(01/03/03)


●今日のひとこと 先日、ウチのステレオの片チャンネルから音が出なくなって、調べてみたらサンスイのアンプが原因だった。修理しようと思ってホームページに行ったら、なんと山水電気って資本金は125億円もあるのに、17人しか社員がいないのね(^_^;)。そのHPには私の使っている初代α707(1986年の機種)の修理は「一部可能」と書いてある。うーむ、修理に出すべきかどうか迷っていたんだが、結局、新しいアンプを買ってしまった。「新しい」と言っても、アンプはそれほど「進化」の激しい製品ではないので、「片落ち現品限り半額以下」のソニーTA-F5000を視聴の上で購入、余計な機能は一切なく、パーツのクオリティを高めたなかなか良いアンプである。
 で、いろいろとCDを聞き比べようと思って、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を聴いているんだが、ウチにはアシュケナージ盤(ハイティング=コンセルトヘボウ)とチェルカスキー盤(テミルカーノフ=ロイヤル・フィル)がある。その聴き比べをしてみた。
 まずアシュケナージ盤を聴いたんだが、ワタシ的にはとてもしっくりくる演奏だ。必ずしも好きな系統のピアニストではないんだが、アシュケナージのラフマニノフは好きで、第2番も彼のCDがスタンダードになっている。音色の美しさと歌い回しが端正で、なおかつロマンチック。ハイティングのサポートも、実に良い。アシュケナージは、ピアノに専念すればいいのに(^_^;)。
 その後にチェルカスキー盤を聴いた。これは彼のラスト・レコーディングと銘打たれているもので、コンチェルトは彼が亡くなる1年前(1994年)の録音である。アシュケナージ盤と比べると、まず出だしのテンポからして遅い。そして音楽が弛緩ぎみなのだ。オケとソロの録音のバランスにも問題があって、ソロが埋もれてしまうところもある。そして、この録音に関してはとても「枯れた演奏」で、ある意味、人生の晩年を感じさせる演奏である。彼の演奏は、ホントは実際の年齢よりも遥かに若々しい演奏が聴けるはずなんだが、この演奏からそのような生命感はあまり聴き取ることが出来なかった。ピアノの音色の美しさでは、チェルカスキーの方が好みだし、ところどころでチェルカスキーらしいロマンチックな歌い回しが堪能できるんだけど、全体を通してみるとチェルカスキーの本領を聴くことが出来る録音とは言いがたい。残念。(01/03/05)


●今日のひとこと いままで不調だったアンプを変えたら、うそっ!と言うほど音が良くなった。TA-F5000は小型のアンプなんだけど、CORAL DX-11のような大型スピーカーでもきちんとドライヴしてくれる。嬉しくなって、アルバンベルグSQが演奏したベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲を聴く。実にリアル。
 さて、今日、ネットサーフィンしていたら神奈川新聞社の(仮称)川崎駅西口文化ホールの記事が見つかった。かなりいびつなパースだけど、ホールの予想図が掲載されているので見るべし。(朝日新聞川崎版よりもはるかに詳しい記事である。さすが地元紙!)
 あと95年12月27日に亡くなったシューラ・チェルカスキーのお墓も発見。これは文字通り「FIND A GRAVE]という著名人の墓をリストアップしているページにあったんだけど、「Highgate Cemetery (East), Highgate, London, England」にある墓地で眠っているらしい。墓銘碑には「CONCERT PIANIST 1911-1995」とだけ彫られている。日本に居ながらにして墓参り?が出来る時代になったんだが、もしロンドンに行く機会があったら、ぜひホントの墓参りをしたいと思っている。(01/03/06)


●今日のひとこと 春ですね〜。気温は低くても風が強くて、花粉が飛ぶ飛ぶ!私の花粉症はそれほど重症ではないが、ヒドイひとは薬を飲んでも駄目みたいですね。こうなるとただ季節が通り過ぎるのを待つのみ(^_^;)。
 9日(金)は新日本フィルのトリフォニー定期2日目。指揮者のキンボー・イシイ・エトウは、99年8月に草津夏季国際音楽フェスで聴いたことがあるけど、そのときは初聴の小品1曲だけの指揮だったので、ワタシ的にはどのような音楽作りをするのかは未知数の指揮者。曲目が超地味だったためか、客の入りは悪かったけど、ソリストには世界一のヴィオラの名手バシュメットが登場した。ブルッフの「VnとVaのための協奏曲」(Vn:チェ・ムンス)も同じく「ロマンス」もはじめて聴く作品だが、いずれも面白みに欠ける作品だったのが残念。メロディラインはそこそこ綺麗なんだけど、それ以上のモノ、たとえば音楽的な深みとか、華やかさとかがない。私が聴く限りテクニック的な見せ場もほとんどなさそう。いくら名手バシュメットとはいえ、この曲を弾いて聞き手を感動させるのはムリなんじゃないかと思ってしまった。ただ音色の美しさだけを感じていたけれど、正直言って退屈な時間だったと言わざるを得ない。
 後半はニールセンの交響曲第5番。実はこれもはじめて聴く作品なのだが、これは面白い音楽だった。さまざまな楽想が交錯し、その矛盾がカタストロフィー的に大きくなったところで調和する音楽は、なんか弁証法的だなぁ・・と思いながら聴いていたんだけど、このような音楽にはNJP&トリフォニーホールの堅めの音が良く似合う。音のエッジがしっかりしているので、パートの重層的な重なりが明晰に描き出される。前半の協奏曲では遠慮がちなサポートが気になったけど、ニールセンはイシイ・エトウの希望で組まれたプログラムらしく、さすがに手馴れた音楽作りを感じさせる。音楽の頂点はダイナミックで、流れが自然なのもいい。この1967年生まれのこの若手指揮者も、ニールセンも、また聴いてみたいと思った演奏会だった。(01/03/11)


●今日のひとこと 昨日は渋谷にある五島プラネタリウムの最終日。駆けつけるほどのファンではないが、昔から星を見るのは好きだったし、五島プラネタリウムも一度だけだが行ったことがある。その最終日の模様はインターネットでライヴ中継されて、それを見たんだけど、さすがにISDNの64kbpsでは限界があって、足りない情報は前に行ったときの記憶で補完しながら見ることになった。ナレーションの声は、音の悪いAMラジオ並に聞き取れるんだけど、BGMはかなり苦しい音・・・。音声のライヴ中継を優先したためだと思うが、映像はナレーションよりも数分遅れて配信されるありさまで、さすがにISDNの限界をまざまざと感じてしまった。これが1.5Mbpsのブロードバンドなら、テレビ並みまではムリだとしても、現在よりはかなり「実用的」な映像が配信できるんだろうと思うんだけど。
 さて、昨夜はアルブレヒト=読響の定期演奏会。在京オケの定期で日曜日のソワレというのは珍しいけど、アルブレヒトに諏訪内晶子がソリストとくれば売切れにならないはずがない(^_^;)。曲目はブラームス・プログラムで、悲劇的序曲、ヴァイオリン協奏曲、交響曲第4番というもの。かなり重量級のプログラムである。
 「悲劇的序曲」は、ぼけーっと聴いていたので、コンチェルトの方から書くけど、諏訪内晶子のヴァイオリンを聞くのは久しぶりである。彼女のブラームスは初めて聴くことになると思うんだが、かなりブラームスを意識した音作りをしていたんじゃないだろうか。以前のような蒸留水のようにさらさらとした音ではなく、かなり骨格のしっかりした筋肉質の音に変貌している。読響をバックにしても音量的な不足感はなく、堂々たるものだ。アルブレヒトのサポートも申し分なかったんだけど、ワタシ的には物足りない演奏になってしまった。と、いうのも、諏訪内晶子が、この曲を通して何を言いたいのか、明確に伝わってこなかったからである。音は確かに綺麗なんだけど、彼女のヴァイオリンの表情付けからはロマンティシズムとか、哀愁とかは断片的にしか伝わってこない。楽想に応じたアーティキュレーションの付け方もチマチマした感じで、全曲を通して一貫したポリシーらしいものが感じられないのだ。終演後の拍手は大きかったけど、・・・うーん、どうなのかなぁ?
 後半の交響曲第4番は、1,3,4楽章はスピーディなテンポで、起伏を強調した情熱的な音楽作り。対して2楽章は心持ち遅めの癒し的な雰囲気を強調したもの。音色的には、もう少しほの暗い感触がブラームスには良く似合うと思うんだけど、このようなちょっと明るい感じのブラームスも一つのアプローチだろうと思う。アルブレヒト=読響のアンサンブルも安定しているし、どのパートも聴いていて不安のないソロを聴かせてくれるので、安心して音楽に浸れるのも良い。この交響曲の方は、聴き終わって満足感の残る演奏だった。(01/03/12)


●今日のひとこと テレビのリモコンがここ数日、行方不明である。どこに行ったのかなぁ?と思いつつも、めんどくさいのでテレビは見ない生活が続いている。代わりにCDをかける。久しぶりにジャズを聴いてみようと思って、引っ越ししてからまだ開けていないダンボール箱を開けたのだが、えっ!こんなCD買ってたっけ?・・・と新発見。怪我の功名とは、このことか。
 昨日で、私が担当している今年度のお仕事は(概ね)おしまい。終わりよければすべて良しで、充実感溢れる一日。自己満足かもしれいないけど、今日のビールは美味い!(01/03/15)


●今日のひとこと 昨日は昼間の気温が20度を越えて5月の陽気だったが、夕方から冷え込んで、・・・なんなんだ、この気温差は? 昼間は卒業式にのぞむ袴姿の大学生の姿が目立ったけど、もうすぐ退職/新規採用のシーズンでもある。一年は、早い(^_^;)。
 オーケストラも新シーズンに衣替えの時期で、今日は東京シティ・フィルの今シーズン最初の定期演奏会である。シティ・フィルの定期演奏会を聴くのは今回が初めてだけれど、定期会員になった動機のひとつは、今年度は「ハイドン/ブラームス・シリーズ」として、常任指揮者の飯守泰次郎が全10回の定期のうち6回も振るということを挙げたい(昨年度がベートーヴェンだったのはご存知のとおり)。私は飯守泰次郎の手腕は正直言ってよく知らないのだが、「常任指揮者」とはその名のとおり解釈すればこの程度の登場回数があってもおかしくないと思うし、同じオーケストラ・トレーナーが系統的に振ることはアンサンブルの向上に多いに資するのではないかと思う。東京のオケで同様の姿勢が見られるオケは、アルブレヒトが読響定期11回のうち4回の演奏会に登場するくらいである。
 名の通った外国人の有名指揮者を起用すれば、それなりの観客動員は見込めるのかもしれないが、年に2回だけしか来日しない「音楽監督」や「常任指揮者」は、どれだけの効果があるのだろうか? もちろん回数だけが要素ではなく、期間や、指揮者の手腕も大きな要素ではあるけれど、東京のオケのシェフの中には単なる「名前貸し」なんじゃないかと疑いたくなるオケもある(^_^;)。このようなオーケストラの姿勢の違いは、長い目で見ればレヴェル=演奏水準の違いとなって現れてくるのではないかと思っている。その意味で今年度は、シティ・フィルの試みに注目したい。(01/03/16)


●今日のひとこと 16日は東京文化会館で行われた東京シティ・フィルの定期演奏会。入場のときに貰ったプログラム見ると定期会員名簿が掲載されている。ざっと数えただけで200人弱。ひとりで複数の席を持っている場合もあるとは思うので、実際の会員数はもっと多いんだろうけど、やっぱりオーケストラの基盤を支える定期会員数はもう少し確保したいところだろうなぁ。実際、この日の入場者数を見ても、全座席の半分程度の入り。
 演奏の方は、ラヴェルの「左手のためのピアノ協奏曲」が良かった。ソリストに起用されたフランク・ブラレイの打鍵の強靭さ、左手だけということを感じさせないスピード感、ノリの良さが光った。音のパレットはもう少し多彩さが欲しい気もしたけど、音色そのものはなかなか綺麗で、打鍵が強くても音が潰れることはない。オケの音の立ち上がりも鋭く、久々に聞いた「左手のためのP協」だったがこの日一番の収穫。
 ただし、1曲目のドビュッシー:管弦楽のための「映像」第1集とメインの「幻想交響曲」は、オーケストラの音色の乏しさや、各パートのフレージングのニュアンス不足から、ワタシ的には楽しむことは出来なかったのが残念。このオケの管弦楽を聞くのは久しぶりなので、この原因は指揮者にあるのか、それともオケにあるのかがわからないが、昨年9月の「ラインの黄金」では非常にレベルの高い演奏を聴かせてくれたので、条件さえそろえばきっと良い演奏をしてくれるはず。来月からスタートする飯守泰次郎のブラームス/ハイドン・シリーズに期待。(01/03/18)


●今日のひとこと 今日は、ネット通販評論家モードで、デジカメ価格暴落中のお知らせ(^_^;)。さくらやNets.で15%ポイント還元中で、なおかつデジカメ価格最安値を更新している。キャノンのIXY DIGITALは42,000円(ポイント還元6,300円)、キャノン Power Shot G1も78,800円(ポイント還元11,820円)、オリンパス C−3040ZOOMは69,000円(ポイント還元10,350円)、フジ FX−4700Zに至っては51,000円(ポイント還元7,650円)と暴落。その多くは新製品の発売か発表済みの機種だけど、贅沢を言わなければ一般的な使用には十分すぎる性能を持っているので、底値買いを狙っていた人には買いどきモードである。
 この15%ポイント還元は、ヨドバシカメラPERSONAL STOREが17日に突如始めて衝撃を与え、ソフマップやさくらやも間髪いれずに追随したのだが、今、インターネット通販が暑い戦いを繰り広げているので、買いたいものがある人は注目!(01/03/19)


●今日のひとこと 19日の月曜日はフムーラ=都響の芸術劇場シリーズ。フムーラは以前にも一度聴いたはずなのだが、ぜんぜん記憶にない。サーチエンジンで探してみたら・・・・ありましたよ、ここに! なーんだ、自分でちゃんと書いてるのにぃ〜。ま、記憶力に自信がないからこのようにホームページという形で記録しているのだが。(←最近は自分のホームページの中でさえ、ヨソのサーチエンジンを使って探しているノダ)
 さて、今回のテーマはブラームスで、野島稔をソリストに迎えたピアノ協奏曲第1番と交響曲第1番が演奏された。野島稔は、個人的には一番信頼しているピアニストの一人なのだが、この日の音色は以前に聴いたときよりも磨きぬかれた光沢のある音色に少しだけ曇りが見えるような感じ。ちょっとしたミスタッチはあったけど、全体的に見れば決して悪い部類の演奏には入らないだろうと思う。しかし私がこの演奏を聴いてガッカリした原因の大部分は、指揮者とオーケストラのサポートにある。ピアノ付交響曲とも言われるこの曲にありながら、ぜんぜんオーケストラに自己主張が見られなかったこと。ところどころで思い出したように登場するクレッシェンドするところを除けば、オーケストラの音量はセーブしすぎで、この曲の魅力を表現しきれていないように感じた。特に弦楽器の密度感の乏しい軽い音は、いつもの都響とは思えず、音がステージ上に滞留して全然飛んでこないもどかしさ。それが音楽全体を弛緩させてしまったのか、ソリストとオケの「競奏」曲的な対話が成立せず、演奏時間が通常のそれ以上に長く感じられた。
 そんなワケで後半が心配になったんだけど、協奏曲の方とは音が全然違う。どのパートも良く鳴っていて、ホルンの音もカッコイイ!ただ、このフムーラという指揮者は、そつなくまとめ上げることには長けていそうなんだけど、聴き終わって後から思い出そうとしても「どんな演奏だったっけ?」と思い出すのに苦労するタイプで、これっ!という特徴が見当たらないのである。聴く人が聴けば違いがわかるのかもしれないが、私が5年前の演奏のことを全く記憶していなかったのも、今回のブラームスを聴いてなんか納得してしまった(^_^;)。ちなみに終演後は、ブラボーの声もちらほら飛び交う充実した演奏だったことを付け加えておく。(01/03/20)


●今日のひとこと 今日の午前9時からフレッツADSLの申し込み開始!いくぞー。
 古くからの「読者」の方はご存知だと思うけど、このホームページはすでに2回の移転を経験している。前のブロバイダではいずれも安定度で悩まされていただけに、現在のAIRNETの安定度にはほとんど満足している。「遅い」とか言う苦情は聞いたことがないから、たぶんサーバーの速度もバックボーンの太さも十分なんじゃないかな。そんなワケで、このブロバイダを当面は使いつづけることにしたんだが、AIRNETはフレッツADSLに対応しているので、早速、今日申し込み! ブロードバンド・ルーターは何にしようか? 電話がアナログになってしまうのはチケ取りに不利だが、なんてったって1.5Mbps! 一日も早い開通を熱望!
 ところで、汎用ドメインの申し込みが始まったけど、ワタシ的にも全く興味がないわけではない(←微妙な言い回し)。もちろん「.jp」だけというのもカッコイイのだが、私が欲しいと思っているドメイン名は「.com」も「.net」も空いている。ドメイン名を取得するのはいいんだけど、個人で取得した場合の最大のネックはwhoisコマンドで住所や氏名、電話番号が全世界的に公開になってしまうと言うこと(^_^;)。やっぱ止めた。(01/03/21)



●今日のひとこと 今年5月3日で、このページも満5歳になる。な〜んか、このHPよりも古いクラシック系HPは片手で数えても指が余ってしまうほどになってしまった。アクセス数では後進のHPにどんどん追い抜かれていくような気もするが(^_^;)、まぁ、このくらいがお気楽で丁度いいかもしれない。
 このHPのシロウト度の高さは隠せないが(^_^;)、今年1月からは平均して2日に1回以上は更新しているし、コンサート・レヴューの速報度もそこそこなので、なんとか現在のペースを維持し、あせることなく、「人よりも一日長く」をモットーに続けていくことにしよう。
 で、5周年ということで、なんか企画せんとなー・・・というプレシャーに見舞われつつ、実は何も考えていない自分に気がつく。いや、正確に言うと、企画はたくさんあっても、現在のヒマ度=忙し度から考えてリアルでないものばかりなのだ。私のページ上で「やる」と公言したものは(たぶん)実際にやってきたので、現実味のないプランは最初から考慮の対象外になってしまう。最低限やる「あれ」と「これ」はすでに決定済み(←有言実行^_^!)。ま、適度の期待してね。(01/03/23)


●今日のひとこと このところ、在京オケの定期演奏会に行くのに、チケットを家に置き忘れていくことが多い。やむなく受付で「チケット、忘れてきたんですけど〜(^_^;)」と申し出て再発行してもらうんだけど、昨日の都響の定期演奏会もそうだった。こーゆーことが他のオケも含めると年に3〜4回位あって、どのオケの受付の人は快く応じてくれるんだけど、そのうち顔を覚えられて常習犯扱いされ、「またですかぁ(-_-;)」と言われそう・・・。気をつけないと!
 で、都響の文化会館定期の報告。フムーラはポーランド出身の指揮者らしく、ポーランド系ユダヤ人でナチスの迫害を逃れてソ連に逃れた作曲家、ヴァインベルグの「モルダヴィアの主題による狂詩曲」を1曲目の取り上げた。東スラブやルーマニア系の伝統的な音楽をモチーフにしたらしく、ワタシ的には馴染みのない民族系の音楽だったのだが、緩徐部分と早い部分のコントラストが激しく、楽想の明暗差も大きい。これらを一つの音楽の中に盛り込んだ面白さを、都響は色彩感豊かな演奏で再現したけど、曲自体の魅力度はワタシ的には低め。
 つづくスクリャービンのピアノ協奏曲も(たぶん)初めて聴いた曲。神秘主義的作品かと思いきや、意外と通俗名曲っぽく、映画音楽にもなりそうなくらいロマンチックな音楽である。清水和音のピアノは、テクニック的に安定していたけど、もう少し音色の変化と硬質なタッチの方がこの曲の魅力を引き出せそうな感じもしたが、こちらはまた機会があったら聴いてみたい曲である。。
 休憩後はドヴォルザークの「新世界より」。この曲を定期演奏会で演奏するのは大変珍しく、少なくとも私は都響定期で聴くのは初めてだし、他のオケでも定期で聴いた記憶がない。そういえば通算1500回近くのコンサートに行っているけど、「新世界」を聴いた回数は・・・たぶん片手で収まるはずだ。なんとなく「新世界」を聞くのはクラシック初心者・・・というイメージもあるし、「完成度は8番のほうが上だよ」などと言ってみたりするが、改めて聴いてみるとやっぱり「新世界」はチョー名曲に違いない。
 都響の演奏は、実に緊張感の高いもので、音楽のタテヨコの線がピタリと合っている様は気持ちイイ。弦楽器の音の密度の高さ、第4楽章冒頭の重量感も都響ならではだろう。木管楽器の音色には向上の余地がありそうだけど、全体的に見れば、「定期演奏会」のレベルに相応しい「新世界」を聴けたと言って良いんじゃないだろうか。フムーラのアプローチは、「新世界」の厳しい部分にスポットを当て、のどかさとか郷愁は少し後退した印象である。第2楽章のイングリッシュホルンが奏でる「家路」のテーマは、ワタシ的感覚で言うともう少し遅く、感情豊かに演奏して欲しかったし、弦楽器の音も堅すぎて、もう少し優しさが欲しかったけど、これは「名曲」ゆえの固定的イメージに過ぎないだろう。
 都響は2月のデプリーストからフムーラにかけて上り調子。29日のマーラーの4番も、フムーラにあった選曲のように思えるので楽しみにしたい。
 この定期のカーテンコール時に、定年を迎える打楽器の白石元一郎さんとトロンボーンの山元富雄さんに、団員から花束と会場からは大きな拍手が贈られた。都響はこの3月で6人の退職者がいて、創立時のメンバーの交代期を迎えている。都響は私が一番最初に定期会員になったオーケストラで、それゆえ一番愛着があるオーケストラでもある。退職する方々に、これまでの素晴らしい演奏に対してこの場を借りて感謝! そして世代交代がうまくいって、これまで以上のオーケストラへの飛躍を期待したい。(01/03/25)


●最近、コンビニに立ち寄らない日はなく、近所のセブンイレブンなしでは生活できなくなっている自分に気がつく。そのセブンイレブンだが、レジのPOSシステムを使って客の性別とおおよその年齢を打ち込んでいるのは有名な話だから、ご存知の方も多いはず。赤い数字のキーは女性で、青い数字キーは男性(黒だったかな〜?)。記憶がいい加減だが、赤青それぞれ「18」「29」「39」「59」「60」とかいった数字が書いてあって、客の外見を見て20歳台の女性だと思ったらの場合は赤の「29」(19〜29歳)のキーを押すといったシステムで顧客の性別&年齢による嗜好の情報収集を行っているのだ。私もレジの時に何歳のキーが押されるのか、いつもそっと見ているのだが、「29」のキーが押されることが圧倒的に多い。私の実年齢はヒミツ(^_^;)だが、実にいい加減な情報収集だと思って感心しながら見ている・・・・。レジのあんちゃん(ねーちゃん)、違ってるよ!
 で、今日のネット通販お買い得品情報! シャープのMebiusシリーズの13.3inchTFT液晶を搭載したデスクトップパソコンPC-DJ10Sが、NTT-X Storeにて94,800円。ずーっと前から出ているのだが、10台限定がなぜか売り切れない。デザインはめちゃ可愛いので、入学祝などにぴったしだと思うのだが。この店はNTT系のショップで、配達は極めて迅速なのが特徴。モバイル向けのノート型ならThinkPad i Series 1620 2661-23Jがオススメ。ソフマップで177,999円(なおかつ15%ポイント還元で26,800ポイントついてくるので、実質的には15万円ちょっと) 実はこのパソコン、私も持っているのだが、キーボードは最高に打ちやすいし、シスプレイは12inchのXGA、バッテリも長持ちの1.6kgなのでモバイルには最適な上に、ウルトラベースに取り付ければCD-ROMとFDD内蔵パソコンに早変わり。プリインストールはWinMEだが、Windows2000に正式対応しているのもポイント。あ、そうそう、ヨドバシカメラPERSONAL STOREの15%ポイント還元は今日限りだから、買いたいものがある方はお急ぎあれ。(01/03/26)


●今日のひとこと 25日の新星日響のラスト・コンサートの記事が、朝日新聞26日朝刊に掲載されていた。(インターネット上の記事は読売が掲載)翌朝掲載というのはクラシック系の話題では異例で、その早さは注目度の高さを表しているんだろう。新星日響の3月のコンサートはかなり客が入って、ファイナルコンサートに関しては早々に売り切れになったらしいけど、皮肉なもので2年前からこれだけの集客力があったとしたら、財団解散という事態は避けられただろうにと思う。私は新星のコンサートにはほとんど足を運ばなかったが、ファイナル・コンサートは多くのファンに惜しまれながら有終の美を飾れたらしいのが救いである。「解散→東フィル」への合流が決まってからの新星日響は、かなりレベルが上がったように思えたし、団員の皆さんには新「東フィル」のなかでいい音楽を聴かせてほしいと、切に願う。
 なお打楽器奏者、加藤さんが作っていた新星日響のホームページも今月いっぱいで終了予定。最後の定期演奏会の模様は、オルガニストの井上圭子さんのホームページにも掲載されている。(01/03/27)


●今日のひとこと 新星日響の解散(東フィルへの合流)問題、都響の補助金大幅削減問題など、オーケストラをとりまく状況の厳しさについては、前から何回も書いている。そして、今後の状況についても、ワタシ的にはかなり悲観的な立場なことも書いてきた。はっきり言って、クラシック音楽文化というのは、入場料収入だけでは成り立たない以上、財源(スポンサー)を他にも求めなければならない。スポンサーからの収入はは個人よりも圧倒的に法人が多そうなのだが、法人(主に企業)は純粋な企業メセナ精神だけで支援することも大事なんだけど、企業がスポンサーとしてカネと名前を出す以上、ある程度の広告効果も期待すると思う。その場合、やはり集客力がある演奏団体(オケ)のスポンサーにつきたいというのは、成り行きの心理だろうと思う。
 都響が来シーズンの東京文化会館定期から、従来のC席(年間会員券で1回あたり2,100円の席)の一部を料金改定して、年間会員券で1回あたり1,400円のEx席を設け、東京で一番安い座席指定の会員席を作ったけど、たぶんこれって入場料収入的にはトントンか、もしかしたらマイナスになるんじゃないだろうか。それでも空席率の高い4〜5階サイドの入場率を上げることにより、有料入場者数を増やして、都からの補助金やスポンサー確保のための根拠にしたいのかなぁ・・・と想像している。
 はっきり言って、現在の都響の場合は入場料収入よりも、補助金の金額の方が圧倒的に多いので、あまり入場料収入には期待していないのかもしれない。そして、読響、新日本フィルや東フィルなどの定期会員の座席割などを見ても、程度の差こそあれ入場料収入の比率をが低めという想像が出来そう。
 反対に入場料収入の比率が高そうに思えるオケが、日本フィルと東京交響楽団。決算書などを見たことないので、まったくの想像だが、この二つのオケの定期演奏会の座席割や料金体系を見ると、他のオケとは違って定期演奏会の割引率は少なかったり、値段の高い座席の比率が高そう。
 ワタシ的には、値段が高い席=音が良い席でないことを事あるごとに唱え、「安い席のススメ」を実践してきたんだけど、はたしてこれがオケの今後のために良いことなのかどうかわからない(^_^;)。私が9つものシリーズの定期会員に入れるのは、オケが原価計算無視の安い席を設定しているからに他ならないのだが、「この値段だったら、10回のうち7回くらい行ければいいや」と安易?な気持ちでチケットを買っている。もしかしたら聴衆の側も、音楽を「消費」するだけではなく、時には「生産」する側の立場に立って物事を考える時代になっているんだろうと、マジに思う今日この頃であった。(01/03/28)



●今日のひとこと
 桜が満開で咲いているというのに、なぜか冷たい雨が降った昨日は、都響のサントリー定期で、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲とマーラーの4番という名曲プログラム。会場は9割強の入り。
 ソロ・コンサートマスターの矢部達哉がソリストになった演奏会を初めて聴いたのは、公演プログラムにも書いてある94年のブラームスのコンチェルトである。このときは彼のコンチェルトを成功させようとするオーケストラが細心の神経を配ったサポートと、矢部の誠実な音楽作りに好感を持ったんだけど、どうしても音量不足が気になって「室内楽奏者に向いていそうだけど、ソリストとしてはどうなのかなぁ」などと漠然と思っていた。しかし今日のベートーヴェンは、その時からかなりの進歩を見せているのに驚いた。正直言って彼のヴァイオリンから豊かな音量は望めないと思っていたんだけど、昨日の矢部のソロはオケに埋もれることはない立派なもの。第一楽章冒頭で音程に不安を感じたり、音が抜けたりしたようなところもあったんだけど、問題を感じたのはそこだけで、音色的にも、人間の体温を感じさせるあたたかさを伴なっていて、ジュリアード系の貴金属的でハデハデな音よりもはるかに好ましい。そして表現も、とても正統的なベートーヴェンという感じ。私が好きな第2楽章は、おなしな感情移入をすることなく、とても端正なロマンティシズムを感じて好感を持てた。堂々とした風格や、速いパッセージでのキレという点では進歩の余地はあるのかもしれないけど、しっかりした音楽性を感じさせる演奏であったことは確かで、オケのサポートもとても良かったしワタシ的には期待以上の出来で満足。
 休憩後はマーラーの4番。A定期で「新世界」を聴いて、根拠薄弱なままに「マラ4はフムーラ向きの曲かな・・・」などと思ったりしたんだけど、こちらは期待以上のものは聴けなかったような・・・。マーラーの中でも室内楽的雰囲気が強い4番だけに、私は筆致の細い透明感のある音を重ねて見通しの良い音楽作りをしてくるものだと思っていたら、フムーラのアプローチはちょっと違っていた。決して剛直な音ではないのだが、私の理想とする音よりも微妙に肉厚。そしてこれは「新世界」の時にも感じていたんだけど、特に弦楽器のフレージングにフムーラ的?な特徴があって、強弱のメリハリをしっかりつけた彫の深い演奏を要求しているように思えたのだが、このことが時には音楽の横のつながりを阻害しているようにも感じたし、私が好きな第3楽章では弦の音が「薄く」なってしまって、音楽がステージから届かないようなもどかしさも感じてしまった。ダイナミックレンジの幅もピアニッシモ方向に広げる余地があったように思えるし、室内楽的透明感も不足がち。都響がフムーラの要求に応えた結果としてこうなったのか、それとも都響がフムーラの要求に応えきれなかった結果なのかはわからないけど、都響の美点を生かしきれていないようなもどかしさを感じたのが私の感想である。ただ、誤解のないように書いておくけど、決して悪い演奏だったわけではなく、フムーラ=都響の3日目の演奏会の水準としては期待に届かなかったという意味である。
 独唱にはコロラトゥーラ・ソプラノの方が合いそうな気がしていたけど、緑川まりって何を歌ってもそれなりに似合ってしまうのね。
 カーテンコール時に、この日で定年等の理由で退団する奏者に花束と、会場から大きな拍手が贈られていた。長い間、お疲れ様でした。(01/03/30)



●今日のひとこと
 電車の人身事故の影響で、家に帰ったのが遅くて・・・眠い。したがって今日の報告は簡潔に(^_^;)。
 昨日はNHKホールで行われたフィレンツェ歌劇場「トゥーランドット」公演の初日。この演目を見るのは、2年前の文化村のプロダクション(勅使河原演出)は初めてで、それ以来見ていないから、今回は私の「トゥーランドット」体験の2回目である。プッチーニの音楽は大好きで、トゥーランドットも例外ではないけれど、ナマの舞台を見た経験が少ないので、演出における固定観念はまったくといっていいほど「ない」。今回のチャン・イーモウ(中国の映画監督)による演出がオーソドックスなものかどうかさえ定かでないくらいなのだが(^_^;)、この演出は素直に楽しめた。NHKホールの広い舞台が狭く感じるほどの豪華な舞台装置を駆使して、スピーディな合唱団の動かし方、北京舞踊学院による艶めかしい踊り、巨大な絵本?による説明を挿入するというアイデア、・・・そのいずれも弛緩のない集中力のある舞台作りに役立っていた。私は残念ながら3階最後方の席だったので、舞台の後ろの方や背景がよく見えなかったんだけど、カーテンコール時に下の回に降りていったら実に美しい彩色が施されていて、もう少しお金を払ってでも、1〜2階で見たいと思ったほどである。
 音楽的にはどうしてもNHKホールという限界があり、「これが東京文化会館なら、どれほど良かっただろう」と思うのだが、NHKホールという悪条件を踏まえればかなり充実した音楽が聴けたと思う。まずオーケストラだが、予想外といっては失礼だがこれが「巧い」。とても柔軟な音で、クレッシェンドの立ち上がりも鋭く、メータのメリハリをつけた指揮に的確に反応していた。
 歌手ではタイトルロールのオードリー・ストットラーが、難役を見事にこなした。張りのある氷のように冷たい声はトゥーランドット姫にぴったりで、声量もNHKホールを満たすに十分なもの。ただし、ビジュアル的には両国・国技館系で、リューの可愛らしさを見てしまうとストーリー的な説得力がなくなってしまうのが残念である。カラフを歌ったランド・バルトリーニも、柔らかい声が美しいテノール。「誰も寝てはならぬ」ではもう少し声量が欲しかったけど、これはホール的な限界だろうと思う。リューを歌ったノラ・アンセレムは声量がもう少し欲しかったけど、声質は清純で、これもピッタリの役柄。合唱は、うーん、これだけの人数だったらもう少し響かせることができるんじゃないかなぁと思ったけど、まぁまぁ。
 全体的には、ひさびさにスケールの大きいオペラを堪能できて、大満足である。カーテンコールも大いに盛り上がって、演出家のチャン・イーモウもブラボーと大きな拍手を浴びていた。出来ればもう一度、別キャストで見たいと思ったほどだが、誰か安いチケットが余っている人、譲ってぇ(^_^;)。(01/03/31)