エトヴェッシュ=新日本フィル

(文中の敬称は省略しています)

●2000/04/14 普通なら300回目の節目の演奏会ならば、それなりの華やかさがあっても当然だと思うんだけど、この新日本フィル300回目の定期演奏会はごくごく普通の演奏会だった。というよりは、いつもより「地味」と言った方が正確で、客席はいつも以上に空席が目立った。特に私が座った3階後方のC席は会員券で売り切れのはずなのに、来ているのは3割か4割程度。NJPがトリフォニーに移転した当初の活気がウソのように去ってしまっている。 先月のボッセが振ったブルックナーは、室内楽的なアプローチで良い演奏だったけど、今月のエドヴェシュはどうか。

 ハンガリー出身の指揮者、エドヴェシュのタクトから奏でられる音楽は、一言でいうと筋肉質で、程よい重量感と密度があり、カチッとした輪郭の音を聴かせてくれる。「イベリア」も適度な音色の広がりがあって良かったし、ブラームス/シェーンベルグもアンサンブルが整った演奏だった。この演奏を聴いて、とても力のある指揮者という印象を受けたんだけど、それが感動となって伝わってこないもどかしさを感じたのも事実。というのも、私は何よりも「音色」を重視して聴く人なんだけど、新日本フィルの音をトリフォニーで聴くと音が硬くて聴き疲れしてしまう。先日のボッセのときは適度に力が抜けて、程よいまろやかさを感じさせてくれたんだけど、今月のエドヴェシュ=NJPは、力の入りすぎ。NJPの音の硬さに、トリフォニーの音もかなり硬い傾向なので、この相乗効果で音のギスギス感が強調されてしまう。他のホールだったら、良かったのかなぁ。

 ベリオの「夢の回帰」は、よく分からない曲だったので、コメントはパス。