フルネ=都響 フォーレ「レクイエム」

(文中の敬称は省略しています)

●1999/04/16 都響定期のAシリーズは、名誉指揮者ジャン・フルネによるフランス・プログラムである。ホントはロイヤル・バレエの「白鳥の湖」やBunkamuraの「トゥーランドット」のチケットも買ってあったんだけど、フルネがフォーレ「レクイエム」を振るというので、他のチケットは売り払って東京芸術劇場に出かけた。

 先日のラヴェルの時はとても良かった都響だけど、どうもこの日はピンとこない。定評ある弦楽器は良いんだけど、ドビュッシーの色気を表現する木管楽器が物足りない。特にピアニッシモになると音の密度が無くなってしまったり、ピアニッシモが表現できていなかったり、・・・。もちろんフルネならではの水準はキープしていたんだけど、ほかのコンサートをキャンセルしてまで都響を聴きに来た立場からすると物足りなさが残る。

 後半はもっとも楽しみにしていたフォーレの「レクイエム」。フルネのタクトは、かなりゆったりとしたテンポで曲を進めていく。管楽器の冴えが乏しいので、清涼感や透明感は今ひとつ。晋友会合唱団も合計で90人の大規模なもので、この曲ならもっと少数精鋭の合唱団を使ってほしいと思う。平板で透明感の乏しい合唱には正直言ってがっかり。オマケにオルガンもオケと噛み合わないところが多すぎて、全然ダメ。フルネが目指そうとしていたアプローチ以前に、問題点が多すぎた。ちょっと聴き手の期待が大きすぎたのかもしれないけれど、フルネのフォーレ「レクイエム」としては残念な印象だ。