バルシャイ=東フィル

(文中の敬称は省略しています)

●98/11/20 ショスタコーヴィチ指揮者としては定評があるルドルフ・バルシャイが登場する東フィル定期演奏会。決してスター性がある指揮者ではないけれど、ライヴ系リスナーの間では名指揮者としての評価が高い。私自身も数年前にショスタコの7番を東フィル定期で、素晴らしい演奏を聴いた記憶がある。

 やっぱり注目はショスタコ。さて、演奏のほうだけど、すごく気合が入っているのが伝わってくる。テンションの高さは、この手の曲を聴かせる上では絶対に不可欠なものだ。第4番はショスタコの中でも、もっとも解りにくい曲のひとつだろうと思うけど、ある意味では最もショスタコらしい曲かもしれない。分裂的で楽想の統一感も乏しく、「マーラー的」という評価も有るけれど、私は実にショスタコらしい曲だろうと思っている。この曲をCDで聴いて理解できない人は、是非ともライヴで聴くべきだ。第4番は演奏回数が少ないのが残念だけど、この曲の良さが少しは理解できるはずだと思う。この日の演奏で惜しむらくは、ところどころでオケのパートにズレが見られたこと。四管編成の大オーケストラだけに、完璧な演奏は望みにくいとはしても、パートのアインザッツの乱れは決して小さくないキズである。オケのキレの良さは抜群だったし、透徹した管弦楽も良かったけど、なかなか感動までに至らなかったのは、オケのズレに原因がありそう。

 前半のブロンフマンのピアノは、粒立ちも良く美しい音色、オケを突き抜けてくる音量も魅力的だったけど、いかんせん曲が良くワカラン。と、いうことで感想はパス。