佐渡裕=NJP
(文中の敬称は省略しています)

●1998/03/06 NJPは2月は定期演奏会は休みなので、久しぶりの演奏会。登場する指揮者は佐渡裕で、プログラムはフランスを代表するラヴェル、フォーレの曲である。

 この日も、医者からもらった薬のせいで前半は爆睡。これからのシーズンは杉花粉も飛ぶ季節だけど、花粉症の薬もすごく眠くなるものがある。どうもこの時期は集中して音楽を聴くことが出来ないけど、とりあえず後半のラヴェルに絞ってコンサートの感想を書かざるを得ない。

 1月の定期の時に佐渡裕のことを批判的に書いたけど、この「ボレロ」を聴くとやっぱり・・・と思ってしまう。演奏時間は概ね14分30秒から40秒。やや早めのテンポは最初から最後まであまり変わらないけど、どうもオーケストラ全体のまとまりの悪さを感じてしまう。この曲はオーケストレーションが命の曲なのだけど、オーケストラの音色的な統一感が希薄で、音が重なるに連れて見通しが悪くなる。指揮者のジャスチャーはいつものように大きいけど、音楽の流れとは全く無関係なところが面白い。オケへの指示らしい指示も感じられないし、工夫もない演奏だった。

 ただし「ダフニスとクロエ」に関しては、かなり改善した演奏を聴かせてくれた。大編成のオケでも、全体の見通しの良さは失わないし、音色的な統一感も取れているし、色彩感の魅力も高い。この曲に限っては指揮者のジェスチャーも小降りで、私の許容範囲。手放しで喜べる演奏ではなかったけれど、せめてこのレヴェルの演奏は確保して欲しいものだ。