ガブリエーレ・フェッロ=読響
(文中の敬称は省略しています)

●1998/02/10 先日の都民芸術フェスティバルに続いてガブリエーレ・フェッロが登場する読響の定期演奏会。サントリーホールはほぼ満員に近い盛況で、 人気の高さがうかがえる。曲目も色彩感に富んだプログラムで、なかなか聴き応えがありそう。

 今日は人から頂いたチケットなので、1階2列目ど真ん中という座席。弦楽器は直接音がよく聞こえるけど、管楽器は間接音の比率が高く、特に金管の音は今一つ。音響的には良い座席とは言いにくいけど、演奏者との距離が近いので、迫力満点だ。

 今日はフェッロという指揮者を間近に見たけれど、先日の東京芸術劇場の時とかなり印象が違う。先日はタクトが不明確な感じがしたけれど、今日のタクトを見る限りそれは誤解で、けっこう明晰なタクトさばきをしているのがわかった。テンポも決して遅いことはなく、音楽的な密度も高い。音響的には正確な判定が出来ない席なので何とも言えないけど、色彩感もそれなりに豊かな演奏を聴かせてくれるようだ。どの曲も、かなり高いレベルで演奏してくれたけど、一番の熱演はプロコのピアノ協奏曲第3番だったと思う。オクサナ・ヤブロンスカヤは、その姿からも迫力を感じさせるけど、テクニックも申し分ない。歯切れよくスピーディに音楽を構築していくけど、オーケストラのサポートも緊密で、この日最高の演奏を聴かせてくれた。

 さて、今日は新常任指揮者アルブレヒトの就任披露演奏会の発売日だったので、会場でチケットを買おうと思ったんだけど、なんと読響は演奏会場でチケットを売っていないのには驚いた。係員に聞いたら、事務局に電話して予約してくださいと言われたけど、演奏会場でチケットを売らないオーケストラって読響だけじゃないかなぁ。あと誉めるべき点をひとつ。読響のプログラムはタダで配られているけど、たぶん東京のオケのプログラムの中では一番充実しているのではないか。曲目解説はもちろんだけど、世界の音楽界のトピックス、CD選評、読み応えのある評論、コラムなどが満載されている。とくに吉松隆と長木誠司の「ステレオ楽壇トーク」は秀逸。これなら演奏が退屈でも、飽きることなく時間を過ごすことが出来る。至れり尽くせりだ(^_^;)。