古典四重奏団
(文中の敬称は省略しています)

●1998/01/27 1986年に東京芸術大学及びその卒業生、川原千真、花崎淳生、三輪真樹、田崎瑞博によって結成された「古典四重奏団」の演奏会を聴きに、虎ノ門の「JTアートホールに行って来た。最近、活発な活動をしていると聞いて、この機会に一度聴いておこうと思ってチケットを買ったのだけど、キャパシティ300名ほどのホールはほぼ満員。来ている人もカルテット関係者が多いみたいだ。

 カルテットを聴く場合、私の基準はハレーSQなので、どうしてもそれとの比較になってしまう。まず機能的な部分、すなわち音色とかテクニックに関してはハレーSQと比較すると、やや聴きおとりがする。ホールの残響や奏法の問題もあるのかもしれないけど、音の艶は控えめ、音色のバリエーション=パレットも乏しいので、音楽が平板に聞こえてしまう。この点に関しては、ちょっと期待はずれだったけど、音楽作りに関してはとても誠実に取り組んでいる点は伝わってくる。暗譜で演奏すること自体を評価する気はないけれど、それなりの練習を積んでいるからこそ出来ることだろうし、最後のドビュッシーの弦楽四重奏曲は聴き応えのある演奏だった。音は素朴なパステル調の色合いで、その差異が生み出す微妙なコントラストが美しい。その中に印象はドビュッシー独特の美しい旋律が浮かび上がる。これはこれで立派な演奏だと思う。
 アンコールはドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」