まずブリテンの「イリュミナシオン」という曲。ランボーの詩をテキストにした弦楽合奏とソプラノのための曲で、ソリストには昨年のサイトウキネンでも登場したシルヴィア・マクネアーが登場。 とてもきれいで聴きやすい曲だけど、ソプラノには表現力が求められる。マクネアーはアメリカの若い世代の歌手で、声の深みとか表現力ではまだまだだけど、明るい声質と声量、声域のつながりはなかなかのもの。 モーツァルトの「アレルヤ」も、安定した歌いぶりで、将来性を感じさせる。弦楽合奏も、よく練習をつんだと見えて、小澤らしい引き締まったサポートを見せていた。
休憩後はメインのマーラーの交響曲第5番。小澤のマーラーというと昨年?聴いた「復活」が印象に残っていて、これだけ緊張感のみなぎったNJPを見たのは初めてだった記憶がある。 しかしその時のNJPと比較すると、数段落ちる演奏内容だったと思う。「復活」の時はCSOなどからサポートもあったので、直接的な比較は可哀想な気はするけど、それが率直な感想。
最初に感じたのは、小澤としてはかなり遅いテンポで演奏したこと。全体では70分を超えてしまったんじゃないだろうか。 終演は21時20分だったけど、なんかうすい水割りを飲んでいるみたいで「はやく終わらないかなぁ・・・」と思ってしまったほど。 ところどころ思い入れたっぷりのフレージングを聴かせてくれるのだけれど、それが長続きしないで終わってしまうのだ。 弦楽器の音が薄いのも不満。 HrやTpはとても健闘していたけど、それを密度が高い音楽として結実させられなかった責任は指揮者にあると思う。