小澤=NJP(トリフォニーB)

(文中の敬称は省略しています)


●97/10/31 今日の定期演奏会は、ベートーヴェンの交響曲第4番とR・シュトラウスの「ドン・キホーテ」で、ソリストはロストロポーヴィチと白尾偕子。なんか数年前の定期演奏会で聴いたことがあるようなプログラムだし、ソリストも全く同じじゃなっかだろうか。ちょっと芸がないような気がするけど、まぁ、顔ぶれは豪華であることは間違いない。

 ベートーヴェンの交響曲第4番は、他の交響曲と比較して決して劣らない名曲だと思うけれど、演奏される機会は少ない。ベートーヴェン・チクルスならともかく、この曲が定期演奏会で取り上げられるのは極めてマレだ。しかし演奏内容は、前回のマーラーの3番の不満を、そのまま感じてしまった。ところどころ美しい部分もあるのだけれど、全体としての統一感の弱く、ベートーヴェンに求められがちな構造的な強固ささを感じない。

 「ドン・キホーテ」は小澤とロストロポーヴィチが頻繁に取り上げる曲で、プログラムに掲載されていた「小澤征爾1997年演奏記録」でも4月にボストン、11月にはベルリンでもロストロポーヴィッチ70歳記念として演奏する。でも、個人的にはあまり好きな曲ではない。同じ標題音楽でも、アルプス交響曲なら音楽からどのシーンを描写しているのか手に取るように解る。でも「ドン・キホーテ」を聴いて、解説も読まずにどのシーンを描写したのか解る人がいるのだろうか? いや私の場合は解説を見ながらでも・・・見失ってしまうのである。それに曲が長い割にはチェロの見せ場がそれほど多いわけでもなく、せっかくロストロポーヴィチをソリストにするんだったら素直にドヴォルザークの方が良かったのにぃ・・・と個人的には思ってしまった。そんな訳で、この日の演奏も私には楽しめるものにはならなかった。ただし独奏者の音は確かで、表現力も美しさも見事。オケの音は、残念ながらマーラーの時の方が良かったと思う。