朝比奈=都響のブルックナー

(文中の敬称は省略しています)


●97/10/24 あ〜ぁ、こんな事ならチケット売り払って、西武の声援感謝セールに行った方が良かったなぁ。終演後の都響の受付カウンターは不満たらたらの聴衆でいっぱい。こーゆーコンサートだとホームページに書き込もうという意欲も起こらない。この原因は、オケでも指揮者でもなく、会場内で鳴り響く原因不明の電子音。私が気がついたのは第一楽章が終わるあたりからだけど、曲がpになるとはっきりと聞き取れる断続的な電子音だ。どっかで聴いたことがある音だなぁ・・・と思ったんだけど、なかなか思い出せない。あっ、と思い出したのが補聴器のハウリング音。たぶん間違いない。この音は第4楽章まで続いて、音楽への集中を著しく妨げた。

 この日のコンサートは朝比奈のブルックナーと言うことで、当日券売場にはキャンセル待ちの長蛇の列が出来上がり、ホールの中もほぼ満席になった。もちろん遠方より駆けつけた人も多い。なのにこのアクシデントだから、聴衆もやり場のない怒りを事務局に持ち込んだのだけれど、事務局も演奏中に音源がどこか探したらしいけど、見つからなかったとのこと。よりによって朝比奈のコンサートでこのような事件が起こるとは・・・。

 で、肝心の演奏の方だけど、都響そのものは悪くなかった。ワーグナー・チューバに問題はあったけれど、それ以外の楽器はかなりの健闘を見せたと思う。しかし音楽的には、どこかよそよそしさを感じてしまう流れで、いささか集中力の低下を感じてしまった。ただ、演奏内容がどうのこうの言う以前に、あの不愉快な電子音があった以上、どのような名演奏でも聴き手として集中できなかっただろうと思う。アラーム付き時計に始まって、携帯電話やポケベル、そして補聴器と、世間にはちょっとした不注意でコンサートを壊してしまうもので満ちあふれている。これを完全に防ぐのは、なかなか難しい問題だなぁ。