この日のコンサートは朝比奈のブルックナーと言うことで、当日券売場にはキャンセル待ちの長蛇の列が出来上がり、ホールの中もほぼ満席になった。もちろん遠方より駆けつけた人も多い。なのにこのアクシデントだから、聴衆もやり場のない怒りを事務局に持ち込んだのだけれど、事務局も演奏中に音源がどこか探したらしいけど、見つからなかったとのこと。よりによって朝比奈のコンサートでこのような事件が起こるとは・・・。
で、肝心の演奏の方だけど、都響そのものは悪くなかった。ワーグナー・チューバに問題はあったけれど、それ以外の楽器はかなりの健闘を見せたと思う。しかし音楽的には、どこかよそよそしさを感じてしまう流れで、いささか集中力の低下を感じてしまった。ただ、演奏内容がどうのこうの言う以前に、あの不愉快な電子音があった以上、どのような名演奏でも聴き手として集中できなかっただろうと思う。アラーム付き時計に始まって、携帯電話やポケベル、そして補聴器と、世間にはちょっとした不注意でコンサートを壊してしまうもので満ちあふれている。これを完全に防ぐのは、なかなか難しい問題だなぁ。