曲目は、ドイツの伝統的な曲に、現代曲を組み合わせたもの。
W.クラフトの「ティンパニー協奏曲」は、ティンパニーだけではなく木琴、鉄琴、チューブラベルなど様々な打楽器を駆使する4人の奏者が主役になるのだけれど、現代音楽の中では非常に面白い作品だった。普通の曲の中でティンパニーを始めとした打楽器に与えられる役割は、料理に使われる「スパイス」の役割に近いんじゃないだろうか。あるいは寿司の「ワサビ」か!? ティンパニーは音楽に不可欠な要素であるメロディを表現出来ない楽器だけど、それが音楽の主役となるのである。表現には自ずから限界があるけれど、音色的な変化とリズムだけでも充分に聴き応えがある曲になり得るんだなぁ・・・と思った。ソリストの上野信一はトゥールーズ・キャピトル管弦楽団の首席奏者で、カーテンコールで好意的な拍手を集めていた。オケへの拍手も大きく、アンコールにはブラームスのハンガリー舞曲第1番とビゼーの「アルルの女」からアダージェットが演奏された。
以下、余談。終演後は、サントリーホールの近くに9月30日に開業した「溜池山王駅」から帰ることにしたので、そのレポート。この駅の開業によって、駒込や王子の方に直結している営団「南北線」と、渋谷−新橋方向へ行く「銀座線」がサントリーホールから近くなった。駅の地下道の入り口はホールから3分くらい、「へぇ〜、近いじゃん」と思ったけど、そこからの地下道が長い。改札からホールまでは6分くらいは見込んだ方が良さそう。あと帰りは自動券売機はちょっと混雑するので要注意。これでサントリーホールの「どの駅からも遠い」という欠点が、かなり解消されたことになったんじゃないだろうか。あとアークヒルズにサントリーホールとともに開業した「カフェ・コンチェルト」「ル・マエストロ」「バー・マエストロ」の3店が、9月いっぱいをもって閉店した。マエストロ系は値段が高いので入ったことはないのだけれど、「カフェ・コンチェルト」はそれなりに利用していたので残念。これもバブル崩壊の余波だろうか。