さて、演奏の方は交響曲の2番から。小泉は、楽章の性格をより際立たせようと第1楽章は重厚に、第2楽章はロマンチックに、第3楽章はリズミカルに、第4楽章はドラマチックに・・・・仕上げようとしていたように感じた。ところが都響から出てくる音が重たくて歯切れが悪い。第1楽章は遅すぎて音楽が進まないし、木管やホルンの音がダメで、弦楽器も音の密度がない。第3楽章以降はなんとか持ち直す気配を見せたけど、全体的に見れば水準以下の演奏だったと思う。うーん、好きな曲だけに残念!
休憩後の第4番は、全体に練習量を感じさせる演奏でかなり持ち直した。弦楽器もテンションが格段に高くなり、切れも良くなった。ホルンや木管にはまだまだ不満を感じるけど、全体的に見ればスピーディで起伏の強調された演奏で、一定の水準には達したかな・・・という感じ。ただ音楽がゆっくりしたところにさしかかると、とたんに音楽の密度が低下して、各パートの噛み合わせが悪くなるのが気になる。
ブラームスの交響曲第4番は、92年にアバド=ベルリン・フィル、93年には小澤征爾=ウィーン・フィルなど、そうそうたる顔ぶれで聞いたけど、どれもダメで、なかなか難しい曲だと思う。厚いオーケストレーションの割には、各声部のバランスが重要で、それが崩れると途端にブラームスの香りが失せてしまう。そんな中で一番良かったのは、93年のジャン・フルネ=都響の演奏である。これはもうダントツの水準で、フランス音楽のスペシャリストと言われている人から、ドイツ音楽の神髄とも言えるブラームスの名演奏が聴けるとは思っても見なかった。名演奏のブラームスからは本当に秋の香りを感じるのだけれど、今日の演奏からその香りを感じることは出来なかった。