ケント・ナガノ=サイトウキネン・オーケストラ

(文中の敬称は省略しています)


●97/09/06 ケント・ナガノ=SKOの公演2日目は、マーカス・ロバーツ・トリオのライヴが行われたザ・ハーモニーホールから急いで駆けつけて、ぎりぎりで間に合った。プログラムとコンマスは昨日と同じで、  内容的には、昨日の公演に比べると大幅な改善が見られた。すべての曲において、音のバランスが改善されてアンサンブルが向上したような印象だ。これならば概ね満足できる水準だろうと思う。たぶん、ちょっとした噛み合わせの相違なんだろうと思うけれど、そこが臨時編成のオケの難しさなのだろうと思う。

 常設のオケならちょっとした問題ならオケの自発性の中で解決したり吸収することも出来る。ところが臨時編成のオケの場合、特にSKOはオケ出身者よりもソリストの方が多いので、問題はさらに大きい。自身の音の美しさを追求する奏者はたくさんいても、他の人の音を聴いてアンサンブルをそろえるという経験では、常設のオケの方が上だろう。機能性自体は抜群に高くても、アンサンブルは指揮者とのトレーニング次第なのではないだろうか。小澤の場合は、お互いに熟知し会っている間柄だから短い練習時間でもなんとかなるのだろうけど、ケント・ナガノの場合はいくら優秀な指揮者であっても、短時間の向上は望みにくいような気がする。

 ケント・ナガノの二日目のコンサートが一定の水準に達したのは誉めるべきなのかどうか、・・・判断に迷うけれど、やっぱりSKOは良くも悪くも小澤征爾のオーケストラという性格が強い。ケント・ナガノの公演は、皮肉にもそのことを浮き彫りにしてしまったのではないだろうか。