常設のオケならちょっとした問題ならオケの自発性の中で解決したり吸収することも出来る。ところが臨時編成のオケの場合、特にSKOはオケ出身者よりもソリストの方が多いので、問題はさらに大きい。自身の音の美しさを追求する奏者はたくさんいても、他の人の音を聴いてアンサンブルをそろえるという経験では、常設のオケの方が上だろう。機能性自体は抜群に高くても、アンサンブルは指揮者とのトレーニング次第なのではないだろうか。小澤の場合は、お互いに熟知し会っている間柄だから短い練習時間でもなんとかなるのだろうけど、ケント・ナガノの場合はいくら優秀な指揮者であっても、短時間の向上は望みにくいような気がする。
ケント・ナガノの二日目のコンサートが一定の水準に達したのは誉めるべきなのかどうか、・・・判断に迷うけれど、やっぱりSKOは良くも悪くも小澤征爾のオーケストラという性格が強い。ケント・ナガノの公演は、皮肉にもそのことを浮き彫りにしてしまったのではないだろうか。