「レセプショニスト」のこと

(文中の敬称は省略しています)


●97/09/03 一週間ほど前になるけど、朝日新聞の求人欄に興味を引くものを見つけた。この10月にいよいよオープンする新国立劇場の「シアター・アテンダント」の募集である。東京の多くのホールは、ホールのチケットのもぎりや座席の案内、クロークなどの人材は外部に委託しているのはご存じだと思うけど、そのほとんどは「サントリー・パブリシティ・サービス(株)」が「レセプショニスト」として受託・運営している。サントリーホール、カザルスホール、東京芸術劇場はもとより、他のホールでも胸に「S・P・S」というネームプレートをつけているのはこの会社からの派遣だと思って間違いない。今回、募集があった「シアター・アテンダント」は、名前は違うけど新国立劇場のチケットのもぎり、座席の案内などの仕事。このホームページの読者にも興味のある人がいるに違いない。

 その募集要項を見てみると・・・・

■資格 18〜40歳 通勤60分以内、月7〜10回勤務できる方 平日勤務者歓迎
■勤務 新国立劇場 他当社契約ホール
■時間 公演に準ず 通常16:30〜22:00頃 水土日11:30より勤務あり
■待遇 時給800円 交通費支給 制服あり
■応募 9月1日必着 書類選考後通知
■面接・・・・省略
■160 新宿区新宿1−1−12 NNKビル8F サントリー・パブリシティ・サービス(株) 03-5379-3231

 残念ながら、もう締めきりを過ぎているので応募は出来ないけど、この募集要項からホールのレセプショニストの実像がある程度見えてくる。すくなくともこの時給×勤務時間だけで生計を維持するのは不可能だし、勤務時間が16:30からだと、昼間に勤務していては掛け持ちは出来ないだろう。そうなると、やっぱり音楽が好きな主婦などが多いのではないだろうか。もしくは大学生ですね。もちろんレセプショニストのうち何人かは正規の社員がいるのだろうけど、基本的にはこのようなアルバイトによって支えられているのだろうと思う。

 一見綺麗なアルバイトに見えるけれど、給与面でもあまり条件が良いとは思えない。音楽に関わる仕事をしたいと思っている人にとっては給与などの条件は二の次なのかもしれないけど、ホールでの接客は即時的な対応が求められるため、判断力やスマートな応対が求められる。新卒よりはある程度社会経験を積んだ人の方が向いていると思うし、実際にレセプショニストをしている人をみると知性的な雰囲気の人が多い。このアルバイトの一番のメリットは、ホール内でオペラに接することが出来るということだろう。仕事中だから音楽や舞台には集中できないし、必ずしも劇場の扉の内側に入れるとは限らないけど、このアルバイトの大きなメリットであることは間違いない。円滑に個人的にはやってみたいアルバイトだとは思わないけれど、私の学生時代にこのようなアルバイトがあったら応募していたかもしれないなぁ。