尾高=紀尾井シンフォニエッタ東京

(文中の敬称は省略しています)


●97/07/12 充実したアンサンブルを聴かせ続ける紀尾井シンフォニエッタ東京の第10回定期演奏会で、指揮は尾高忠明。曲目は、ハイドンの交響曲6番「朝」、7番「昼」、8番「晩」をメインとして、その間に20世紀作品であるバーバーの「弦楽のためのアダージョ」と武満徹「ノスタルジア」を加えたもの。かなり考えられたプログラムだ。

 まず「朝」「昼」「晩」は、キチッとアンサンブルが整えられて、各パートが綺麗に浮き上がってくる。以前にNJPの定期で同じ曲を聴いたけど、大ホールだとどうしてもこじんまりとしてしまうか、スカスカになってしまう。やっぱりハイドン(特に初期の作品は)室内楽ホールで聴くべきなのだろうと思う。ハイドンは人気に乏しく、実演に接する機会は恵まれないけど、誤魔化しが効かないためアンサンブルの善し悪しが一発で解ってしまう。

 ただしこの3曲は、標題音楽としては描写には物足りなさが残るし、途中、冗長と感じられる部分もあったことは確か。この曲の良い演奏に出会ったことがないので、指揮者の責任なのか、曲そのものの問題なのか解らないけど、後期のハイドンを是非ともプログラムに載せて欲しい。

 バーバー「弦楽のためのアダージョ」と武満徹「ノスタルジア」は、ぼけーっと聴いていたのでパス(^_^;)。でも、この日の演奏会はKSTのものとしては珍しく空席が目立って、約8割程度の入り。音の美しさでは東京で一番のオーケストラだと思うけど、プラスアルファをどのように付け加えていくかが課題だろうと思う。