トルトゥリエ=都響

(文中の敬称は省略しています)


●97/06/18 都響のサントリーホール定期は、定期会員券は売り切れ状態なのに、一回券はかなり売れ残ったらしく空席が目立って、だいたい7〜8割程度の入場者数だろうか。はっきり言ってこのプログラムじゃ、仕方がないか・・・という感じだけど、前半はデュカス「ポリュークト」序曲、ラロのヴァイオリン協奏曲第2番「スペイン交響曲」(Vn:ワディム・レーピン)というもの。

 東京芸術劇場でプーランクを演奏したときには、軽妙でセンスを感じさせる演奏を聴かせてくれたのだけど、この日の都響の音はちょっと重め。はっきり言って冴えてない。初めて聴くデュカスの曲は、もうちょっと綺麗に音が分離してくれれば良い曲だと思えるのかもしれないけど、退屈してしまった。ラロの「スペイン交響曲」も、表面的でまとまりに欠け、内容に乏しい感じがして。あまり好きな曲ではない。個人的にはレーピンのテクニックだけが見物の演奏だったけど、ソリストに限っては素晴らしい水準だった。自信たっぷりのテクニックを駆使して、テンションの高い音を聴かせてくれた。アンコールの曲目を控えてくるのを忘れてしまったのだけど、アクロバット的な技巧を披露して、喝采を浴びていた。

 後半はラヴェルのピアノ三重奏曲を、指揮者トゥルトリエがオーケストラ版に編曲したもので日本初演。原曲の構成をそのままに、ラヴェルの意図を忠実に再現することを第一として編曲した感じがする。たしかにラヴェルの他の管弦楽曲のイメージがそのまま見え隠れする部分もあり、結構、それらしい雰囲気が漂う。室内楽では聴いたことがあるけどオケ版を聴くのはもちろん初めてなので、演奏そのものの評価は難しいけど、都響も指揮者=編曲者の意図に応えた演奏だったと言って良いのではないか。前半2曲とは練習量の違いを感じた。終演後の拍手も、好評だったけど、このオケ編曲版が普及するどうかは微妙な感じがするなぁ。どちらかというと、私は室内楽で聴きたい。