ジュリアード弦楽四重奏団 vol.3

(文中の敬称は省略しています)


●97/06/03・05 ジュリアード弦楽四重奏団のベートーヴェン・チクルスの4日目と5日目の演奏会。3日は第7番「ラズモフスキー第1番」と第13番(大フーガ付き)で、5日は第3番、第10番「ハープ」、第13番(終楽章ロンド版)。13番は初演された当時そのままに最終楽章に難解な「大フーガ」を用いた初演版と、終楽章を書き換えた「改訂版?」の聴き比べとなっている。

 しかし5日間聴き通して思ったけど、音程の不安定さ、技巧の破綻は目に見えて明らかになってきた。初日から3日目までは後半のプログラムになると改善する傾向があったのだけど、4.5日目はほとんど改善されない。音色も悪化して、私の耳でもかなり技巧的に無理が来ているのが解ってしまう。さすがにこの演奏を続けて聴くのは苦しい。正直言って6月2日に聴いた第14番の演奏は幻だったのか・・・と思ってしまった。

 ジュリアード弦楽四重奏団は、前回の来日時に特別な思い出があって悪いことは書きたくないのだけど、ちょっと悲しい気分だ。