今日の演奏は、近年の都響としては希にみる力演だったと言って良い。さすがに一昨年のマーラー交響曲第5番のレベルには達していないけど、その水準に限りなく近い。インバルが指揮台に登ると、ステージは緊張感に包まれ、それが客席にも伝わってきて生唾を飲み込む音さえはばかれるほど。それは都響が醸し出す音にも現れていた。ピンと張りつめたテンションの高さ、反応の鋭さはもちろんのこと、ロマンチシズムと地獄的なグロテスクな音楽が共存している曲に合わせて、いつもは平板な音しか出さない木管や金管も楽想によって様々な音色を使い分けている。全曲を通して楽譜が透けて見えるような見通しの良さはインバル特有のもの。クック版をナマで聴くのは初めてだけど、第2楽章以降はすこしオーケストレーションが薄目かな?と思う程度で、完成度の高さを改めて再確認。素晴らしい演奏で再現して見せた。
惜しむらくはピアニッシモの幅や、部分的なミスも散見されたことだけど、この演奏を語る上で大きな問題にはならない。先日のブルックナーの交響曲第3番(第一稿)を上回る快演に拍手! きっと14日の演奏はさらに良いものに仕上がるに違いない。時間があったら是非とも聴きに行くべきだ。