スヴェトラーノフ=ロシア国立響

(文中の敬称は省略しています)


●97/04/23 東京国際フォーラム・ホールCで開催されたスヴェトラーノフ指揮ロシア国立交響楽団の演奏会で、曲目はちょっと変更があって、当初予定されていたボロディン「中央アジアの平原にて」がチャイコフスキーの「スラブ行進曲」になった。そのほかにラフマニノフ「パガニーニの主題による変奏曲」(ソリスト:中村紘子)とブラームスの交響曲第1番というもの。

 1965年以降、指揮者をつとめているスヴェトラーノフと切り離して語ることが難しいオケだけど、モスクワで活動しているオケの中ではもちろんトップクラスの評価を受けているのは間違いない。以前にもこのコンビはライヴで2〜3回聴いたことがあって、パワフルな金管楽器を推進力がある演奏を聴かせてくれたけど、今回の演奏は以前とはかなり傾向が違う演奏だった。全体的な傾向としては、テンポが遅めで、音量もこのオケとしてはとてもセーブしたもの。スラブ行進曲もブラームスの一番も燃えるような演奏を期待していただけに、ちょっと拍子抜けしてしまった。

 それにこのホールの音響。今回は3階席の最後部に座ったのだけど、かなり残響音も少な目で、ホール自体が鳴らないし、響かない。それゆえオケの音が、・・・特に弦楽器の音が痩せてしまって魅力が半減してしまっている。金管バリバリの演奏でごまかせる曲なら良いけど、ブラームスではそーゆー訳にはいかない。このホールでの演奏でオケの音を評価されてしまうとすると、ちょっと可哀想な感じだ。ちなみにアンコールはなし。

 間に演奏されたラフマニノフも、ホールの音響のせいか魅力がイマイチ。中村紘子のピアノは、ゆっくりした部分の演奏はそれなりに美しかったけど、押しつぶしたような音色になってしまうところも多かった。