今秋来日するベルリン国立歌劇場は、ベルリンで最も伝統ある歌劇場で、ベルリンの壁が崩壊するまでは旧東ドイツにあったもの。持ってくる演目はエヴァーディング演出のモーツァルト「魔笛」、クプファー演出のワーグナー「ワルキューレ」、シェロー演出のアルバン・ベルグ作曲「ヴォツェック」で、指揮は音楽監督バレンボイム(「魔笛」のみセバスティアン・ヴァイグレとバレンボイムが交互に指揮)が行う。歌手陣も豪華だけど、個人的には斬新な演出が見物である。
対するベルリン・ドイツ・オペラは、東側に行ってしまったベルリン国立歌劇場に対抗して旧西ドイツが作った歌劇場。すべてゲッツ・フリードリッヒの演出で、ワーグナーの「さまよえるオランダ人」「タンホイザー」とR・シュトラウス「ばらの騎士」。指揮は音楽監督ティーレマンとイルジー・コウト。とりわけタンホイザーは当代随一のワーグナー歌手ルネ・コロのオペラ引退公演として注目されている。
この6演目をセットで買うとベルリン・オペラ・フェスティバルの会員となるんだけど、S席23万円、A席20万円、B席17万円。これでもセットだから割安になっているらしい。ちょっと目眩がしそうな金額だけど、6回で割ればS席4万、A席3.5万、B席3万円位だから、最近のオペラ公演とすれば・・・・まぁ、普通の金額なのでしょうか。こーゆー金額に慣らされてしまうのにも問題はあると思うけど、・・・。
ベルリン国立歌劇場というと1990年に来日したときに「魔笛」を観たけど、当時は確か東ドイツで経済的危機が進行していた時期で、歌手も演出も全然だめ。かなり幻滅した覚えがある。現在はそんなことはないと思うので、一演目観るならは「ワルキューレ」。ベルリン・ドイツ・オペラは、歌手で選ぶなら「さまよえるオランダ人」だろうか。
でも今年11月というと、新国立激情で若杉弘指揮W・ワーグナー演出の「ローエングリン」が上演されている時期である。新国立歌劇場にラジカルな批判を加えているNBSの佐々木忠治氏のことだから、ワザと日程をぶつけたのかしら・・・と思ってしまいますね。