東京国際フォーラムって?

(文中の敬称は省略しています)



●97/02/24 東京は先週の金曜日に春一番が吹いた。その後、急速に冷え込み、強風のため体感温度氷点下の中を「東京国際フォーラム」まで「青ひげ公の城」を見に行ったわけだけど、さすがに都庁跡地に建った建物だけに巨大な建造物である。

 新宿に移転した新都庁が完成して展望台見学者が急増し、東京都への就職希望者が急増したという話だけど、私はあの建築物が好きではない。もっとはっきり言ってだいっ嫌いなのである。丹下健三設計の建物だけど、私にはどこがよいのかさっぱり解らない。都民を威圧するために造ったんじゃないかと思えるほど権威主義丸出しの外観は、現代建築の中ではサイテーの部類に属するんじゃないだろうか。仕事の関係で以前は良く都庁に出入りしていたけど、エレベーターで一階に降りるだけで10分かかることもしばしばで、昼食を食べるところも不自由する有様。機能的に考えてもサイテーの部類である。

 そんな訳で「東京国際フォーラム」にも期待はしていなかったんだけど、アメリカのラファエル・ヴィニオリ氏設計の外観はなかなかのものである。まず目にはいるのは巨大なガラスホールなのだけど、透明なガラスなので開放的で威圧感が少ない。夜になると、通路のフットライトが効果的に使われて、照明がガラスホールを染め上げる様子は美しい。あまり時間がなかったのと、強風のため見ていない部分も多いのだけど、第一感は悪くない。

 音楽ファンの注目はホールCに集まるのだろうけど、ローズウッド色の内装の美しい。床は高級感あふれるフローリングで、音が良さそうなホールだ。椅子も幅が広くて、いかにも値段が高そう。シューボックス型で3階まであるホール、しかも1,500人収容とキャパシティも控え目なので音が悪いはずがない・・・・・と思ったのだけど、音響はイマイチである。経験的にこのタイプのホールの場合は3階席の音がベストなのではないかと思って3階席を買ったのだけど、残響音は少な目でさっぱりした音響。なんかギスギスした感じがするのが気になる。コンサートホールの場合、出来あがったばかりの時の音はあまりあてにならないけど、この大きさのホールだったらもうちょっと良い音がしても良いんじゃないだろうか。

 しかし音響以上に疑問なのが、東京国際フォーラムってホントに必要なの?・・・・・ってこと。東京周辺にはいくらでも多目的ホールやコンベンションセンターはあるのに、今更、同じものはいらないんじゃないだろうか。音楽ホールだって同様だ。どうせ創るなら絶対に「オペラ・ハウス」である。有楽町駅前という超一等地、これ以上、日本のオペラハウスに相応しい場所があるだろうか。新国立劇場の初台より少なく見積もっても100倍は立地条件が良い。オペラファンとしては、「東京国際フォーラム」は何とも勿体ない跡地利用であるぞ。