細川俊夫 作品集

(文中の敬称は省略しています)


●97/01/20 東京文化会館で行われた都響の定期演奏会。毎年1月は「日本の作曲家シリーズ」で、若杉弘が音楽監督の時代にスタートし、21回目となった今回は高関 健 指揮で、細川俊夫の作品集である。ヨーロッパでは非常に高く評価されているらしいけど、今回採り上げられた作品は1993年から1996年に作曲された最近の曲である。

オーケストラのための遠景II(1995)
ヴァイオリンとオーケストラのための「ランドスケープIII」(1993) Vn:漆原朝子
ソプラノ・アルト・室内オーケストラ、任意の弦楽オーケストラのための 「バビロン川のほとりにて」 (1995日本初演)Sp:ジュリー・モッファ、A:永井和子
オーケストラのための遠景III(1996)

 初めて聴いた作曲家だけど、武満徹のように、透明感ある重層的な音の響きを音楽にしたような傾向に似ている。鐘の音とかピッコロ・フルートに横笛らしい音を出させるなど、日本的な味付けを加えているけど、いわゆるメロディらしいものは乏しく、耳に残る旋律はなかった。遠景IIには金管のバンダ(別働隊)、バビロン川のほとりにては弦楽器のバンダを動員して立体的なな要素も加味しているけど、金管ならともかく音量の乏しい弦楽器のバンダには全く意味を感じなかった。

 個人的にはこのような響きの音楽は嫌いではない。しかし4つの作品にそれぞれの個性には乏しく、同じような音の連続を聴いているうちに感性がマヒしてきて、一夜のプログラムを構成するには苦しさも感じたのが事実。聴く人が聴けば違いが解るのかもしれないけど、一曲だけ聴くのならともかく連続して聴くのはしんどい。

 この手のシリーズはいつも観客動員が悪いのだけど、この日はまぁまぁの入りで、観客の反応も良かったと思う。でも、まぁ、そのぉ・・・未来の音楽の傾向って、こーゆー方向なんですか?