まず、曲そのものだけど、はっきり言って面白くない。一回聴いただけで結論を出すつもりはないけど、プロコフィエフ独特の鋭角的な感じもなければ、登場人物の心理をえぐるような鋭さも感じない。同じオラトリオでもオネゲルの「火刑台上のジャンヌダルク」は、神性と少女との間で揺れ動く心理描写が見事だった。映像があって、それへの伴奏音楽としてみた場合の評価はまったく別になるかもしれないけど、少なくともコンサート会場で聴くべき作品とは思えない。戦意高揚を狙った作品以上のものではないと思うのだが・・・。
さて演奏。問題だったのはナレーションの江守徹で、抑揚に乏しく平板的、早口でよく聞き取れないシーンも多かった。対してオケ、ロストロのタクトさばきは巧いとは思えないけど、NJPからはなかなか良い響きを引き出していたと思う。弦管打とも破綻はなかったし、金管はいつも以上に良く鳴っていたようだ。独唱(秋葉京子・勝部太)も役割は十分に果たしていたし、晋友会合唱団もなかなかの水準を聴かせてくれたと思う。しかし上演する作品がこれでは、熱演も報われない。
コンサートが終わって帰ろうとしたら、山手線が人身事故でストップ。ついてない演奏会だったけど、プログラムに挿んであったのチラシにNJPのホームページの件が書いてあった。ドメイン名までとるなんて気合いが入っているけど、アクセスしようとしてもDNSが見つからない。まだ古いURLで運営している模様。今後の運営に期待!